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「ファイナルファンタジー16」感想…アクション:○ その他:× / やり込みinFF

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管理人の日記
「タナトス」という敵が「デストルドー」なる技を使ってくる点は良かった(女騎士並感)

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2023年7月3日(月)
「ファイナルファンタジー16」感想…アクション:○ その他:×


 
クライヴのコンボ気持ち良すぎだろ!


 この6月22日に発売したFFシリーズ最新作:
「ファイナルファンタジー16」を、先日クリアーしました(サブクエ・モブは、ラスボス戦直前で解禁されたもの以外は網羅)。アクションは楽しかったですが、その他の部分の出来はあまり良くなく、せいぜい良作ど真ん中という程度のゲームでした。
 …まず、この作品は、FF本編で初めて、
RPGから完全なるアクションへと変貌したタイトルである。それだけに、「アクションとしての出来は良いか」「これまでのRPG作品に親しんできた人が楽しめるか」という点が、私は気になっていた。

 しかしながら、
そのようなアクション面については、全く問題が無かった。
 …まず、主人公:クライヴのボタン操作による戦い方は、派手かつ迫力のある内容になっており、アクションゲームで最も重要と言える
「キャラを操作していて楽しい」という点が成り立っている。各種の召喚獣アビリティは、どれも強力で個性的な性能であり、時間のみをコストとして使えるので、単なるボタン連打とはならず、適切なタイミングでそれらを使っていくことが重要となる。そして、「テイクダウン」という、ブレイク・バーストに引き続きの総攻撃システムも用意されており、中型以上のモンスター相手では、メリハリのある戦いを行える。
 ――そして、
アクション苦手勢への配慮も万全である。基本システムとして、各種の難易度緩和アクセサリが用意されており、例えば「オートスロー」という物を装備すると、回避可能な攻撃が飛んできたときに、時間の進行が遅くなって、落ち着いて回避コマンドを入力することが可能となる。ゲーム性を完全には失わせず、かつ、アクションゲームの宿命である覚えゲー感を緩和できるという、完成度の高いシステムであり、他のアクションゲームにも、是非、この手のものを採用してほしいと思う。もっと楽に、「回避を自動で行ってくれるアクセサリ」や、「ポーションを自動で使ってくれるアクセサリ」「ボタン連打で多彩な攻撃を使ってくれるアクセサリ」なども存在する。これらは、高難易度やスコアアタックなどでは使えないというだけであり、デメリットは一切存在しない。完全に、難易度調整として、個人の裁量で使えるわけだ。

 さて。具体的に、
私は、剣撃系のアクションゲームを全くと言って良いほどプレイしないので、体験版の時点で割り切って、「オートスロー」を装備していくことにした。アクセサリは3枠あるため、そのうち1つを埋めたところで、大きな問題は無い。ちなみに、オートスローを装備していても、通常タイミングでの回避は可能であるため、慣れた相手に対しては、積極的に通常回避のほうも狙っていった。
 …また、カスタマイズしがいのある召喚について、私は、まず1枠は汎用性の高いフェニックス、もう1枠をテイクダウン要員であるガルーダとしていったが
、残り1枠は流動的であり、高火力のタイタン、ウィルゲージを削りやすいシヴァ、入手が遅く準備まで必要な代わりに超火力のオーディンなど、様々に工夫をする余地が有った。本作は、武器&防具のカスタム要素がほとんど無いという珍しいFFであるが、いっぽうで、新しい召喚獣が手に入るたびに、「この召喚アビリティをどう使うか?」という楽しみが有ったため、飽きることは無く、最後まで新鮮味のあるバトルを楽しむことができた。

この8人パーティで冒険がしたかった…


 とまあこんな感じで、アクション面については、意外にも非常に良かったのだが、その他の点は問題だらけである。
特に、ストーリーは酷いものだ。
 …まず、本作の「物語の流れ」自体は、
実はそこまで悪くない。召喚獣を使った人間同士の争いから始まり、やがて、裏で糸を引く“神”のような存在が明らかとなって、主人公が世界の運命を懸けた戦いに身を投じていく…というのは、まさにFFらしい王道の展開である。また、要所要所では、少年漫画のように盛り上がるシーンや、逆に行き過ぎて笑ってしまうようなバカバカしさを感じさせる場面もある。そういうところまでを含めて、FF16に“FFの魅力”が、全く無いというわけではないのだ。

 しかしながら、
本作のストーリー演出は、率直に言って微妙であった。大きな問題は、「キャラゲー要素が薄い」ことと「ムービーが長い」という点だ。
 …まず、キャラゲー要素という点についてだが、本作の主要キャラと言える「ドミナント
(召喚獣を扱える存在)たち8人は、ボス格と言えるバルナバス(右下)「あなたクライヴのお兄さん?」と疑ってしまうくらい見た目が被っていることを除いて、王道主人公・ショタ・戦うヒロイン・イケメンジジイ・綺麗なお姉さん・ゴリラ・正統派イケメンと、非常に個性的である。私は、プレイ前には、彼らが拳を交えることで分かり合っていき、最終的には結束して、9人目のドミナント=“神”に戦いを挑んでいく…と言った感じの、悪く言えば陳腐な、良く言えば王道のシナリオを夢想していたものだった。
 ――が、しかし。本作では、章立てのような物語進行となり、
役割を終えたドミナントは、順番に物語から取り除かれていく。よって、ストーリーラインで繰り返し登場するのは、モブに毛が生えたかのようなサブキャラばかりである。はっきり言って、絵的な魅力が薄いのだ。FFシリーズのパーティというと、男女はもちろんとし、子供・ジジイ・亜人・ゴリラなどが入り乱れた多彩な編成であることが多く、それぞれの見た目や性格の違いで、大きく楽しませてくれていた。それが、FF16だと、似たりよったりの成人男性ばかり目立ってくるのだから、ガッカリというしかない。
 ちなみに。私が、FF16で最も注目していたキャラは、
主人公の弟であるジョシュアである。女の子のような華奢な外見ながら、その身にフェニックスを宿しており、否が応でも戦いに巻き込まれる宿命にある。だが、複雑であるはずの兄のクライヴとの関係も良好そのものであり、共に国を支えていこうと決意をしていた。しかし、少年期の最後にて、二人は悲劇的な別れを経験する。そこまでが体験版範囲であり、私は製品版でどのように彼らの関係が描写されるかと期待していたが…結論だけ言うと、ジョシュアの出番は、予想よりも遥かに多かった。ただ、ネタバレとなるので詳しくは伏せるが、私が期待していたものとは全くもって異なっており、ジョシュアである必要性を特に感じなかった。あんな形での登場となったことは、残念だ。

 また、体験版の時点でも猛威を振るっていたムービーの長さ
【日記:2023/6/12】は、序盤だからそうなのだと思っていたが、何ということは無い、製品版でも全く同じであった。しかも、長くても見栄えのするムービーならば良いのだが、実際には、ひたすら長くて退屈というシーンが多い。
 …やれ、FF16は、発売前のトレイラーの時点で、『7』『10』『13』などの、いわゆる“野村FF”に比べて、プロモーション映像が下手などと評価されることがあった。
だがそれは、本編内の演出も同じであり、正直に言って、ダラダラ喋っているようなシーンが目立つ。特に、中盤の間延び感が酷く、オープンワールドゲーのモブのようなサブキャラたちの外見も相まって、完全に義務感でゲームを進めている感じになっていた。そこから一応は、ラストに近づくにつれての、FFらしい熱さとバカバカしさで、なんとかモチベーションを保てていたのだが…。
 ――そして、ここまで来ると、
発売前の主要制作スタッフの、とんでもないビッグマウスも思い出すというものである。彼らは勝手に、FFどころか、スクウェア・エニックスすら代表するような発言をしていたが、結局のところ、出てきた作品がこれなのだ。これまで、名も知られずにFFを支え続けてきた人たちが、あまりにも忍びないというものである。やはり、制作スタッフの神格化などは、“神殺し”が常套となっているFFシリーズには、似合わないのだ…。

確かに召喚獣戦はド派手ではあったけど、もっと他に予算を使うべき場面があったんじゃ?


 ところで。FF16が、全くムービーに魅力が無いということはなく、要所要所で、力の入れられている場面は存在する。その最たるものが、目玉要素として宣伝されていた
「召喚獣戦」である。
 …さて、ここだけは、本当に“ファイナルファンタジー16”というゲームの最大の魅力として作り上げられているためか、
これまでのゲーム作品における常識を遥かに超越するレベルでの、超々ド迫力の演出が連続して行われる。恐らく、これまでFFシリーズを作り上げてきたスクウェア・エニックスの主力スタッフたちはもちろんとし、莫大な資金力で有名なソニー、そしてその他にも業界の様々な人たちが結束して、この作品の召喚獣戦を作り上げたのだろう。かつて、私たちが夢見た“動かせるムービー”を、100%…いや、それ以上の形で実現しているのが、この、FF16における召喚獣戦なのだ。
 ――やれ、この召喚獣戦は、PS5のハード性能を極限以上に引き出していることはもちろんとし、様々に奇跡的な状況が揃って、初めて出来上がったものである。もし、PS6以降の次世代ハード、そして『FF17』以降の次回作が登場したところで、この品質は、簡単には上回れないだろう。
この召喚獣戦がぶっ飛んだ高クオリティを実現しているということ自体には、全くの異論は存在しないというものだ。

 ただし。これまでにも述べたように、
本作は決して、完璧な作品というわけではない。そして恐らく、FF16の召喚獣戦の1つ1つには、小規模どころか、中堅ゲームを1本まるごと作り上げられるくらいの予算が掛けられている。もっと、お金の使いどころを考えるべきだったと思うのだ。
 …例えば、FF16では、音声に対する口唇の動き=“リップシンク”が省かれている。そして本作は、和ゲーにも関わらず、英語音声をベースとして開発されているという特殊な状況のため、
口唇の動きが日本語音声とズレるという、異質な状況が発生しているのだ。やれ、そんなものは、口唇を細かく見なければ気付かないから問題ない…と思っていたのだが、実際にプレイしてみると、どこか違和感が存在する。当たり前だ。口唇の動きがズレるというのは、つまるところ、作中の登場人物が、流れる音声を喋っていないということに繋がるのだ。無意識下であっても、確実にその影響は存在している。ちなみに、FFシリーズ大作における前作と言える「FF7リメイク(第1弾)」では、言語に合わせて自動的にリップシンクが為されるという超技術が採用されているようだ【該当記事】。なぜ、同一シリーズ内なのに、それを流用しなかった…?
 ――また、作中では、軍事大国であるウォールード王国の、旗艦:
「アインヘリアル」というものが出陣する。お馴染み、北欧神話に由来する名称であり、私がその名称を初めて聞いたのは、今から20年近くも前となる「ロックマンゼロ4」でのことであった。それはともかくとし、“アインヘリアル”の脅威は、作中でも度々語られており、“旗艦”というだけあって、私は、何十隻からなる鉄製の艦隊との、壮大なる海戦が展開されると思っていた。大艦隊における衝突からの白兵戦、そしてそこからの、召喚獣を駆使しての沈め合いに発展していく様は、映像作品として、大きな見どころに値するだろう。が、実際のアインヘリアルは、現実世界の域を出ない普通の帆船であり、しかも艦隊を組まず、謎に1隻で行動をしていた。そんなものと戦っても、燃えるはずが無い。やれ、敵艦に強襲上陸というシチュエーションは、何気に2桁ナンバリングで目立っており、FF12の「戦艦リヴァイアサン」「空中要塞バハムート」、FF13の「聖府軍旗艦パラメキア」などは、それぞれにバトルやストーリー面において、山場を作ってくれていた。では、FF16のアインヘリアルがそれと並べるのか? と言われれば、全く比較するレベルに達していないと言わざるを得ない。長すぎる召喚獣戦に費やした予算を、少しでも、アインヘリアル随伴艦の建造に掛けるべきであった。

 ちなみに。本作のズレ具合を象徴する話題として、
「80人4時間ベッド会議」が存在する。ゲーム冒頭部に存在するムービーシーンにて、“とあるキャラクターがベッドに腰掛ける”というシーンのためだけに、80人が4時間を掛けて会議をしたということらしい【インタビュー記事】
 ――やれ、記事では
美談のように語られているが、プレイ動画で確認してみたところ、該当するベッドは3秒ほどしか映っていない。その3秒のために、80人×4時間が消費されたのだ。例えば、1人あたりの人件費を、ちょっと高めに1時間1人=2000円で見積もると、64万円となる。それが重要なシーンならまだしも、ちょい役ですらない、ただの背景である。まさか、令和のこの時代に、リヴァイアサンおにぎりの正統続編が作られるとは思わなかったぜ…。

謎にFF1のフィールド曲のアレンジとかもあったし、全てのFFの始祖なのかも…


 さて。本作は、
莫大な期待を背負った作品であった。スクウェア・エニックスからは、つれぇわ以来のFFシリーズ本編作品ということで、そしてソニーからは、PS5の旗艦フラグシップタイトルとして。だが、その期待に応えられたかというと、正直言って、微妙と言わざるを得ない。
 …まあ、前述の通り、ストーリー演出については、力が入っている部分については、これまでの映像作品では見たことの無いような、超次元の演出となってはいる。が、
それよりはむしろ、手を抜いているほうの部分が目立ってしまうというものであり、ダラダラとしたムービーゲー感覚も相まって、正直言って、退屈なゲーム体験となってしまった。そのズレ具合の象徴が、30分という、ちょっとおかしな長さのスタッフロールである。
 ――やれ、本編クリアー後には、高難易度の「ファイナルファンタジーモード」なる2周目が用意されているという。
が、私は、特にそれをやろうとは思わない。正直、1周で十分にやり尽くしたので、今すぐこれ以上をやろうとは思わない。年に数本しかゲームを買えなかった昔とは異なり、今の時代には娯楽が溢れている。いくら、“FF”を冠する作品であっても、現環境では、絶対的な存在とは成り得ないのだ。

 そういうわけで。FFシリーズ正統続編である
「ファイナルファンタジー16」は、決して駄作ではないが、かと言って神ゲーでもない。結局のところ、「良ゲー・佳作」のど真ん中という程度の評価をすべきであると思う。
 ――まあ、私はここまで、FFシリーズに対して、
既に両足を突っ込んでしまっている人間であり、FF16という作品から逃げることはできない。そして、つれぇわとは異なり、FF16は、無かったことにしてしまいたいくらいのクソゲーというわけでもない。だからこそ、礼儀として、“FF16のやり込みプレイ”というものは、何か一つくらいはやっておきたいと思っている。まあ、さすがに今はちょっと疲れているため、9月の公式攻略本:「アルティマニア」の発売を待ってからということになるであろう。今回も、ゲームシステムに反した“低レベル”を追求する、ある種のネタ枠になるかな…。

(2023年7月3日)

登録タグ/ ゲーム一般 FFシリーズ
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