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パケ価格8800円のうち、ゲーム会社の取り分は「2400円」! / やり込みinFF

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管理人の日記
計算ミスの修正により、デジタル売上率が94.8% → 87.4%になりました。あんま変わらん

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■□■ 2022年2月5日(土) □■□
パケ価格8800円のうち、ゲーム会社の取り分は「2400円」


 
パッケージ売上額は12.6%で、氷山の一角


 ここ最近は、様々の会社の決算が発表されている。私は、経済には全く明るくないのであるが、どうも第3四半期
(10月〜12月)の経営結果が、この時期に出てくるということだ。やはり、細かく数字を合わせていくと、どうしても1ヶ月くらいは掛かってしまうのだろう。
 …そして、ゲーム会社の決算も、続々と出てきている。
現在のハード・ソフト開発には莫大な資金が掛かるため、お金の流れは重要だ。お金さえあれば、どれだけ評判が悪くてもゲームは作れるし、その逆も然りで、お金が無ければどんな評価の高いゲームであっても続編は出ない。我々ユーザー側としても、今後10年20年とゲームを楽しんでいくために、ある程度は業界のことに興味を持っておいても損は無いであろう。

 そういうわけで、本日は、
「ソニー(ゲーム部門)」の第3四半期(2021年10月〜12月)の決算に触れていこう。これについては、1ヶ月前に、「今のソニーで大きな利益を出しているのは、既にダウンロード版のソフト販売ですらなく、アイテム課金や月額利用料などのオンラインサービス」という趣旨の記事を書いている【日記:2022/1/4】。だが、その際の記事で根拠にしたのは第2四半期であったため、そこから3ヶ月でどう変わったかということを検証していきたい。なお、データーの根拠としては、【こちらの資料】の9ページ目を使用している。
 ――さて。経済としては、どうも“昨年前期”と比較する
(つまり、「2021年10月〜12月」と比べるのは、「2020年10〜12月」ということ)というパターンが多いようだ。しかしながら、今回の検証テーマは、「ゲーム販売のデジタル化がどのように進んでいるか」であるため、あえて“前の3ヶ月”(つまり、「2021年7〜9月」)と比較をすることにしたい。そのため、以下の表で「前期」と書かれているのは、全て「前の3ヶ月」という意味である。


ソニー ゲーム部門 第3四半期(2021年10月〜12月) 各種データー

 ハードウェア売り上げ額:2105億円
(前期:1606億円)

 ソフトウェア関連売り上げ額:
計5091億円(ソニー計上の売上高は4619億円/前期3430.億円)
 └
PS界隈のパッケージ版のソフト販売:768億円(算出の根拠は下に書いている。ソニー計上の売上高だけで言うと296億円/前期282億円)
 └ダウンロード版のソフト販売:1819億円
(前期:1267億円)
 └追加コンテンツ等販売:2504億円
(前期:1882億円)
 →これら3つの比率
(PS界隈全体):パッケージ15.1%、DLソフト35.7%、追加コンテンツ49.2%
 →PSplusを含めた比率
(PS界隈全体):パッケージ12.6%、DLソフト29.7%、追加コンテンツ40.9%、Plus等加入料16.8%
 ※「ソニー計上の売上額」をベースとした場合の比率
 →Plusなし:パッケージ6.4%、DLソフト39.4%、追加コンテンツ54.2%
 →Plusあり:パッケージ5.2%、DLソフト32.2%、追加コンテンツ44.4%、Plus加入料18.2%


 PSplus等加入料売り上げ額:1025億円
(前期:1004億円)
 →PSplus加入料+ソフトウェア関連売り上げ:6116億円
 →PSplusを含めた
業界全体の「売上ベース」デジタル販売率:87.4%
 
※PSplusを含めた「ソニーの」売上ベースデジタル販売率:94.8%

 ソフトウェア売り上げ本数:9270万本
 ソニー自社ソフト比率(本数ベース):
12.2%
 フルゲームのデジタル販売比率(本数ベース):
62%
 ソフトをパッケージでなくDLで買った場合の利益率:
平均1.45倍


パッケージソフト PS界隈 総売上高:「768億円」の算出根拠について
 決算資料には、パッケージ売り上げ高について、「296億円」とあるが、これを元に計算を進めたところ、デジタル売り上げ比率95.2%、パッケージソフトの中間搾取率82%、ゲーム会社のパッケージ取り分が1本840円など、実態と乖離しているであろう数値が数多く出てきてしまった。
 この理由は、パッケージソフトのうち、サードパーティ分は、ソニーが入手するロイヤリティ(royalties)で計算されているからである。

 そこで、ソニー自社ソフト比率(本数ベース)が12.2%であることを元に、
 ・まず、パッケージソフトの売り上げが全体の38%である → 9270×0.38=3522.6万本
 ・サードパーティタイトルのパッケージ売り上げは87.8%である → 本数は3092.8万本である
 ・ソニーの自社ソフト比率は12.2%である → 429.8万本
 ・「ソニーとサードタイトルの値段が同じ」「ソニーとサードタイトルのパケ:DL比が同じ」「ソニー入手のロイヤリティが3割である」と仮定する → サード売り上げはフルゲーム売り上げ換算で3092.8×0.3=927.8万本
 ・フルゲーム換算で1357.6万本でソフト売り上げが295.9億円 → パッケージ1本につき、「ゲーム会社(ソニー+サード)」の取り分は
2179.6円
 ・これを、総ソフト売り上げの3522.6万本に掛け、
767.8億円
 と計算を進めていった。



 というわけで。1月の記事
【日記:2022/1/4】では、第2四半期をベースに、パッケージ:DL:追加コンテンツの比率を、8:37:55としていた(PSplusなし)。ただ、これはソニーの取り分に注目した比率であり、「実際のパッケージ売り上げ高」とは異なる。
 ――そこで、一つ上の段落に書いたような方式で、「PS界隈全体のパッケージ売り上げを、296億円でなく768億円」と試算し、計算をやり直していった。
この誤りに気付いたのが、アップロード直前であった。そのため、計算と画像製作が全てやり直しになり、更新が1日遅れてしまったのだ。だが、間違えたものを出して、「ソニーのDL売り上げはパッケージの20倍!」などと言っていたら、とんだ恥晒しとなっていた。気付けて本当に良かった…。

 さて。その前提の元、「パッケージ:DL:追加コンテンツ」の比率を出すと、15:36:49となった。まあ、ざっくり、
パケ15%:DL35%:アドオン50%という感じの理解で良いだろう。更に、PSplusの加入料も「ソフトウェア関連売り上げ額」に含めると、パケ13:DL30:アドオン41:Plus17ということになり、DLから始まる売り上げの比率は87.4%にも達する。プレステの商売は、とっくにデジタルで行っているのだ。
 …なお、ここで言うパッケージ売り上げは卸売価格であるため、我々が払う「小売価格」とは少し感覚が異なっている。まあ、ざっくりだが、新品パッケージソフトを1本買ったとき、その2倍の額が裏でDL取引されていると考えて良いだろう。そしてDL取引は、全てがゲーム関連会社
(ソニー+ゲーム製作会社)に入っていき、中間搾取が無いため、とても効率が良いのだ。
 ――更に、PSplusについては、ソフト9270万本
(パケ+DL)を売って2586億円を得ている中で、加入者4800万人で1025億円の売り上げを出している。4800万人の全員が3ヶ月間の加入をしていたすると、だいたい1人の3ヶ月加入がソフト0.77本を売っているに相当する。4ヶ月加入させればソフト1本、年間ならソフト3本を売っているのに相当するわけだ。そしてもちろん、PSplusの加入料とサービス形態もデジタルであるため、全てが胴元であるソニーの袖に入っていく。どこもかしこも“サブスク”をやりたがるわけだ。

えげつない この搾取(守りたい この笑顔、的なイントネーションで)


 続いて、いちユーザーに重要な視点として、
「DL版を購入することで、どれだけゲーム会社を支えられるか」ということも考えていきたい。
 …これについても、上の表を使って算出した。ソニーは、フルゲームの「本数」ベースのデジタル販売比率を、
62%としている。よって、パッケージ版が売り上げ「本数」に占める割合は、38%である。38%の本数:3523万本から768億円、62%の本数:5747万本から1819億円の売り上げを出しているため、これを1本あたりの売上額に直すと、DL版のソフトを購入することにより、平均して1.45倍の利益をゲーム会社に与えられるということが分かる。
 ――そして。この「1.45倍」という数値は、セール等も含めた割合である。よって、新発売したソフトのDL版を、新品パッケージ価格と同様の額で購入することにより、更に多くの額をご本尊に投げ銭することが可能であると言えるだろう。

 そして。更に考えを進めていきたい。パケ3523万本で768億円の売り上げを出しているということは、つまり、
パッケージソフト1本あたりの卸売販売価格は、2180円ということになる。パッケージについて、昔は「ベスト版」などもあったが、現在ではほとんど見かけないため、全て新品定価とする。
 …やれ、パッケージ版は、欧米だと6821円程度
(59.99米ドル × 1ドル113.7円で換算)、日本だと7000〜9000円といったところであり、日本のほうが高いということが知られている。仮に、欧米の基準に合わせ、6821円のうちソフト会社の取り分が2179.6円とすると31.95%、日本基準とし小売価格が8000円とすると27.25%となる。更に言うなら、世界は日本と欧米だけではないため、それ以外の国も関わってくるだろう。
 ――さて。ソニーは、売り上げの日本・海外比率を公開していない。また、「ゲーム制作会社が卸売業者に、いくらでパッケージソフトを販売しているか」ということも、正確な数字は出てこなかった。そのため、間を取って、税抜小売価格の
30%がゲーム制作会社に入ることにしよう。

 では、例を考えてみよう。定価8800円(税込)の
「FFオリジン」のパッケージ版を新品購入したとする。ゲームの購入額としては、かなり強気であり、どうせなら、しっかりとゲーム関連会社に貢献をしたいところだ。
 …ところが。まず800円が、消費税と題し、
日本聖府により没収される。次に、残った8000円のうち、ソニーに行く額が3割=2400円ということは、5600円がパッケージ小売店や運送業者等に支払われるという計算になる。そして、ソニーは各ソフトメーカーから“プレイステーションに市場を開かせてやってる代”(ロイヤリティ等)を取っており、それを3割とすると、720円がソニー、残りの1680円がスクウェア・エニックスに入る。
 ――以上、あなたが払った8800円のうち、
6400円がゲーム会社以外に取られ、残りの2400円をソニーとゲーム制作会社が分け合っている。ここを一番応援したいのに、新品価格の27.27%しか入っていないのだ。別の見方をすると、ソニーは卸売り業に、2400円でゲームを販売しており、そこからなんやかんやの過程を挟んだ結果、私たちの手に届く頃には8800円になってしまうのである。げに恐ろしや、中間搾取…。
 なお、小売価格は、割と頑張っており、定価より1000円以上安く買えることもある。Amazonでの価格を参考に、「FFオリジン」の小売価格を7200円とし、ゲーム制作会社の取り分は2400円で変わらないとする。そうなると、2400÷7200でピッタリ1/3となり、
払ったお金の1/3がゲーム会社に入っている。恐らく、この辺りが、実際の体感として近い値になるのではないだろうか。

 さて。これらのデーターにより、別のことも分かる。最近では、DL版の販売が重要となっている。このDL版については、流通や小売店などの中間搾取が存在しない。仮に、ソニーのストア運営代金を、思い切って0円としよう。しかし、オンライン購入でも、
やはり日本聖府の影響力は排除できないため、どうしても消費税10%は取られてしまう。これは、諦めざるを得ない。
 …すると、ゲーム会社への利益については、
DL版のセール2640円=パッケージ版8800円という、おぞましい式が成り立つ。DL版は、70%OFFで販売して、なお定価パッケージと同等の利益をもたらすのだ。そりゃ、あれだけ年がら年中セールをしているわけだ…。これにより、「新品価格のDL版購入」は、同額のパッケージ購入に対し、3.3倍のお金をゲーム制作会社に渡せるということになり、かなり信仰心の高まる行動であると分かる。
 ――ちなみに。実績値として、DL版については、5747万本で1819億円を売り上げており、1本あたり
税抜3164円ということになる。こちらは、セールによる値下げの影響も入っており、単純に2180円の3.3倍とはなっていない。ただ、「微弱なセール」から、「8〜9割引という投げ売り」までを平均すると、だいたい55%OFFくらいでソフトが売れているようだ。それだけ割引をして、なお1本あたり1.45倍の利益となるのだから、DL版の効率というのは凄まじい。もちろん、消費者にとっても、中間搾取が無くなって、安くソフトが入手可能になるということであるため、もはやメリットだらけである。

いや、分かるんですよ。運輸や小売もゲーム販売の仲間なんです。でも、この比率では…


 さて。ゲーム販売店舗や運送業も、「ゲームを取り扱って、消費者の手元に届ける」という意味では、「ゲーム関連会社」という括りに入れることができる。ゲームは庶民の娯楽であり、実店舗で手に取れることは重要であるため、ゲオやブックオフといった小売店も、敵でなく、味方と捉えるべきである。あと、後向きだが、
どうしようもないクソゲーを買ってしまったときに、DLだと泣き寝入りするしかないが、パッケージだと中古に流すことで僅かだけでも溜飲が下がるという意味合いもあるな。
 …しかし、私としては、
どうせお金を払うのなら、ゲーム製作会社に多くの額が届いてほしいのだ。しかも、DL版を購入した場合に制作会社に入る額は、パッケージと同額ならば3倍、セールを前提としても平均1.45倍と、比率がとんでもない。そして、ゲーム会社に資金が入れば、買ったゲームの続編が制作される可能性も増えるというものだ。

 そういうわけで、長々と書いたが、私としては、
「ゲーム会社を応援する」という目的でDL版を買う視点を持ってほしいと思うのだ。
 …何故なら、前にも書いた通り、今のソニーが最も利益を出してるのは「オンラインサービス」であり、
オフラインの買い切り型ゲームはかなりピンチであるからだ。このまま開発費の高騰が進み、開発期間も伸びていけば、スタンドアロン型のゲームは不採算部門として廃止されてしまう恐れすらある。だからこそ、ゲーム会社との共存共栄に繋がるDL版を、積極的に選んでほしいと思うのだ。もちろん、即座に全てDLに移行しろという意味ではなく、現在のDL版に対する捉え方に、「ゲーム会社の応援」という視点をひとつ加えていただければ十分である。
 ――やれ。「一本の鉛筆の向こうに」と同じで、1本のゲームソフトの向こうにも、大勢の人が関わっている。しかし、その人たちが関われば関わるほど、
中間搾取によって、最重要なゲーム制作会社の取り分が減っていく。ダウンロード版の鉛筆は存在しないが、ゲームはDLによって、制作会社から直接購入することが可能だ。申し訳ないが、こちらがゲームに使える額も無限ではない。だったら、ゲーム会社に多く貢献できるDLを選んでいこうかな…。

(2022年2月5日)

登録タグ/ ゲーム一般
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