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管理人の日記
非常に自然に忘れていましたが、9月14日は、当サイトの25歳の誕生日でした…
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どっちがウイルスか分からん(2回目) |
【前回記事】の続編である。我が社に導入されたウイルスソフトが、時が経つにつれ猛威を振るい、今度は私がメンテナンスした中古PCを続々と破壊しはじめた。
…まず、軽くおさらいをしよう。“コンピューターウイルス対策をするソフトウェア”として、「ウイルスソフト」という言葉は、通常、誤りであり、「ウイルス対策ソフト」や「アンチウイルスソフト」などが正しい用語だ。しかしながら、そのウイルス対策ソフトは、過剰反応により、コンピューターを重くし、時にクラッシュさせるようなことすら、頻繁にある。
――実際、今月9日の我が社では、何のウイルスも入り込んでいないのに、正常業務に対して対策ソフトが誤作動し、最終的に業務をストップさせるに至った。まさに、「ウイルスソフト」や「有料ウイルス」などと呼ぶに相応しい存在である。そして、その「ウイルス」は、次は脆弱なレストアPCたちに矛先を向けたのだ。
さて。現在、SE部門において、私が主として進めているプロジェクトの一つが、「余剰PCの再利用」だ。7月の機器入れ替えにて、我が社では1000台ほどのWindows8.1 PCが不要となった。このうち一部を使って、更に古いWindows7やXPなどのPCと交代させていこうという話だ。当初は私も、「壊れていないパソコンを最後まで使えて、機械さんも喜ぶ!」などと、乗り気であった。もちろん今は、切り替える前のほうがマシと言われるレベルの不良PCを、大量に現場へと送り込んでしまったことを、酷く後悔しているものだ。
…やれ、機器入れ替えで余ったPCは、10年ほど現場で使われていたということで、ただでさえ、当たり外れがある。そのうえ、このレストア時に、1台の例外もなく、「監視ソフト」と「ウイルス対策ソフト」の2つが導入される。というか、それがこの再利用プロジェクトの目的だったりする。だが、そのようなソフトウェアは、機械が何らかの動作をするたびに、オン・オフの両面で、大量の情報送受信を行う。そのため、パソコンの動作を、著しく重くするのだ。それが最悪の形で現れたのが、冒頭で述べた「業務のストップ」であるし、そこまでいかなくとも、普段からPCを低速にしていることは間違いない。少なくとも、早くはしていないだろう…。
――そういうわけで。「ストレージがSSD、かつ、現場であまり使われていなかった」というアタリ端末が配布された人はまだマシなものの、「HDDで、酷使されて既に半病人みたいな感じ」というハズレ端末が割り当てられてしまった人は悲惨であり、ただでさえ遅いところに監視ソフトとウイルスソフトが加わり、一動作をするたびに長いロード時間が必要という、PS2とか3時代のクソゲーみたいな感じになってしまう。そして、その原因のウイルスソフトをインストールしているのが私なのだから、気分が良いはずが無いのである。
そして。現場では、あまりの遅さにしびれを切らしたためか、仰天の解決法が出てくるようになった。例えば、「自分でお金を払うから、私物PCを業務で使わせてくれ」とか「隣の余っている端末と入れ替えて良いか」などという感じである。まず、前者の「お金を出すから端末を買わせてくれ」という話だが、私も未だに事務室では支給品としてWindows7のPCを使っており、遅い…遅い…とイライラしながら、日々の仕事を行っている。ところが、コストパフォーマンスに優れるミニPC(【日記:2025/9/7】)なら、2〜3万程度で、最新のWindows11に対応し、かつ、業務に十分以上の性能を誇る製品を購入可能だ。ヨボヨボのWindows7
PCとは比べ物にならない…。そういう物を、自分でお金を払うから使わせてくれというのは、非常に気持ちは分かるというものだ。しかし、それを許可すると、セキュリティ的に最悪なうえ、「業務に使う機械を自腹で購入させる」という悪習が定着しかねないため、さすがに認めてはいけないだろう。
…また、「隣の余っている端末と入れ替えさせてほしい」も、一度認めてしまうと、「隣」の解釈が曖昧ゆえに、“隣”を繰り返すことで、端から端まで交換可能である。そうなると、あちこちで機械の交換が起こってしまい、どこに何があるのか管理できなくなる。今ですら、「地図に書かれている情報と、現場の端末配置が一致しない」という問題に苦戦しているのに、それが常態化すると、もはや収拾がつかなくなるのだ。
――そうして手をこまねいているうちに、「交換したPCが遅すぎて、次の日には返ってくる」という、私にとって最悪の事件が起きた。そのPCは、独自ソフトウェアのインストールが要求されるものであり、私もかなり手を掛けたものであった。そういった手塩に掛けた製品が、たった1日で使い物にならないとして返品されるのは、私の労働意欲に重大なマイナス影響を与える。しかし、現場の気持ちも分かる。電源を入れてからPCが立ち上がるまでに5分、その後、例えばWordをダブルクリックして文字が打てるようになるまでに1分が掛かる。そして、その文字も、キーボードを叩いてからワンテンポどころか3テンポくらい遅れて出てくる感じだ。そんな明らかな不良端末を、私は手間暇を掛けて現場に送り出してしまった。私のやったことは何だったのだろうか。俺は、俺は!
いったい何のために! 戦っているんだー!!(ロックマンX)
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かくして。これ以上、こんな酷い端末を現場に送り込まないために、私は、この問題について、徹底的に調査することにしたのである。
…まず、最も良いのは、元凶の「監視ソフトウェア」と「ウイルス対策ソフト」をインストールしないということである。非常に根本的な解決策であり、自分の家ならば是非そうしたいのだが、残念ながらここは日本企業なのでそうはいかない。現場の一兵卒が、正式な手順を経ずにそんな行為をしたら、間違いなくチームを外されて終わりであろう。既に、こんなウイルスソフトを導入したという誤りは明白なのだが、それを認めるのは、プロジェクトが大きければ大きいほど難しいのだ。
――というわけで。次善策として、私は、「このような遅いPCを、現場に出す前に間引きする」という方式を編み出すことにした。だが、無論、できたらとっくにやってる(定型文)というやつであり、この問題の厄介なところが、現場で使って初めて分かるという点だ。私は、レストア作業中、様々なソフトウェアを入れたり消したりするが、その時は「少し遅いかな?」くらいに思っていた端末が、現場からの苦情で初めて、使い物にならないレベルの遅さなことに気付くのだ。このような後出し方式は、対応として非常に低レベルである。まず、苦情を言った人に、そこまでのストレスを与えているのだし、それに苦情は氷山の一角で、それに匹敵する遅さの端末を我慢して使っている人も、大勢いるだろう。私は機械オタクなので、皆に良い環境でパソコンを使ってほしいと思っている。それなのに、自分の行動が、逆に、こんな酷い状況を生み出している。耐え難いものだ。
そういうわけで。このウイルスソフトによるPC低速バグについて、半日掛けて細かい調査を行った結果、だいたい以下のようなことが分かったのである。
●低速バグが発生しているPCは、全例がHDD端末である。(※「全てのHDD端末が異常に遅くなる」というわけではない)
●セットアップ作業中に、「周りと比べて遅いかな?」と感じる端末で、その後、低速バグが発生する。
●該当端末にて低速バグが発生している最中は、「タスクマネージャー」→「パフォーマンス」→「ディスク」で調べられるディスク使用率が、常に100%となる。「100%に近い値」ではなく、「完全に100%」である。
●そのディスクへのアクセスを仕掛けているのは、くだんの「監視ソフト」&「ウイルスソフト」、そしてWindowsの「System」というプロセスである。
●低速バグが発生していない端末でも、起動直後の使用率100%は起こるが、1分程度で低下する。一方で、低速バグが発生する端末は、長時間ディスク使用率が100%のままとなる。
●つまり、「起動直後にタスクマネージャーを開き、例えば10分間、様子を見て、ディスク使用率が100%のまま」というPCがあれば、この低速バグを起こしていると判断できる。
●この低速バグは、セットアップ直後ではなく、少し時間が経ったあとに発生する。潜伏期間がある…やっぱりウイルスじゃないか!
●よって、「丸1日おいた後、出荷をする前に、完全に現場と同じ環境で起動して、タスクマネージャーのディスク使用率を確認する」という試験が、選別に有用と考えられる。
●「もともと低速のPCにダメ押しをする」「時間を置いてから超低速となる」といった現象が起こる理由としては、「日次のスキャンやアップデートが、PCに負担を掛け、それが低速PCをハングアップ同然の状態にする」といった理由付けが可能である。もうこっちがウイルスだろ。
●ちなみに、「起動直後からずっとディスク使用率が100%になる」というパターンのほか、「断続的に、1分間程度、ディスク使用率100%になることを繰り返す」という例も存在した。変異ウイルス?
というわけで。詳細な原因は不明なのだが(どう考えてもウイルスソフトだけど…)、とりあえず、異常端末の発見方法を確立できたという点は大きい。やれ、私は普段、FFプレイ日誌などで「こんな細かいところまで調査するか?」というくらい、無駄に詳しい情報を書いていたりするが、それを世のため人のために使うと、こういうことができるのである。
…さて。最後の試験として、私の手元に、“セットアップが完了したが、まだ現場に出していない端末”があったため、それを1台ずつ起動して、上記の調査をおこなってみた。すると、前述の「1日で帰ってきた端末」に加えて、もう1台、ディスク使用率が常に100%となる不良端末を発見した。現場に出す前に間引けて良かった。だいたい、10台につき1〜2台という割合で、この低速バグが発生しているようだ。
――さて、これらの端末は、元からガタは来ていたのだろうが、不良報告はされておらず、実際に7月までは現場で使われていたパソコンだ。それが、無駄な監視ソフト&ウイルスソフトの導入で、トドメを刺された形である。健常者も被害を受けるが、高齢者や基礎疾患のある人は、特に重症化しやすいということだ。もうこれ、完全にウイルスじゃん…。
(2025年9月25日)
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