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管理人の日記
うひょー、2週間ぶりの休日だ! いっぱい遊んで、いっぱい書くぞ!!
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15年経った今でも通用するミーム |
その昔、「エルシャダイ(El Shaddai)」という伝説のネタゲーが存在したのだが、現在でも伝わるその魅力は、音楽だと思うのだ。
…さて。まず、「エルシャダイ」は、PS3世代のハードで、2011年に登場した。神や天使といった重厚なバックグラウンドに、主要キャラとなるイケメン男性たち、そして絵画的・芸術的なグラフィックが組み合わさった、謎のゲームである。しかし、それよりも話題となったのは、「大丈夫だ、問題ない」に代表されるネットミームだ。当時は、ニコニコ動画の全盛期ということもあって、素材として大流行をし、公式さえ、それに乗っかったプロモーションを行った始末だった。そして私も、冷やかし半分・期待半分という気持ちで、購入してプレイをしてみたものだ。
しかし、実際にゲームを遊んでみると、なんということはない、凡庸なアクションゲームであった。基本的には、「2Dないし3Dでのジャンピングアクション」→「開けた場所での雑魚戦」を繰り返しつつ、マップの最後にボスが待ち受けている…という、一本道スタイルの作風だ。しかし、主要と言える雑魚敵が3種類しかおらず、少なくとも通常プレイの範囲であれば、連打で雑魚戦が終わってしまうため、非常に単調で、飽きやすいのだ。
…では、飽きを防ぐための、グラフィックやシナリオについてはどうなのか。確かに、こだわってはいるのだが、常人には理解不能という感じである。とりわけ物語については、途中から完全に興味を失ってしまい、左耳から右耳という感じだった。イーノック(主人公)が、西洋風の神殿を走っていく際に、謎のおばさんがひたすら重要そうなことを喋っているシーンで、「このゲームまだ続くの?」と思ったことを覚えている(【たぶんここです…】)。
――というわけで。エルシャダイについては、「破綻こそしていないものの、平凡なバトル」に、「奇抜なグラフィック」や「理解不能なシナリオ」などが特徴であり、奇ゲー・雰囲気ゲーとして、ハーフプライス程度で買えば楽しめるだろう。逆に、「大作アクションのような王道のゲーム性」や「ニコニコ動画で大流行したネタ要素」を求めてしまうと、だだ滑りをしてしまう。そう、私も勢いよく滑落した一人であったのだ。
とはいえ。奇ゲーとして、私の中に一定の印象は残せたということか、その後の人生でも、何度かこの作品を振り返ることがあった。
…まず、遊戯王カードでの話である。2014年、伝説のアニメ第5作:『アークファイブ』が放送開始されると同時に、カードゲームのほうでは、「シャドール」というシリーズカードが登場した。シャドウ(影)+ドール(人形)という名のごとく、様々な既存カテゴリのモンスターが黒い操り人形になったかのような姿をしている。そして、その融合体のモンスターは、「エルシャドール」という共通名を冠していた。「エル(el)」は、“神”を表わす接頭詞であり、語感だけでなく意味的にもシャドールの上位版という名称にして、そして、“全能の神”を意味する「エル・シャダイ」とも掛けているのだろう…という【Wikiの解説】を見て、私は予想だにしていなかったタイミングでエルシャダイという単語を目にし、フフフってなった。
――また、ゲーム:「エルシャダイ」の大まかなストーリーは、「神に仕えていた天使たちが、人間界を覗き込むうちに、彼らへ興味を持ち、次々と堕天していった。激怒した神は、人間界をまるごと滅ぼすことを提唱したが、そりゃさすがに待ってくれと、同じ天使であるイーノックが堕天使たちの討伐へ向かう」といった内容であったことを覚えている。これと似たような思いを、私は職場で経験したのだ。というのも、職場の業務システムのアカウント管理で、「辞めていく人間」や「結婚して名字が変わった人々」を大量に眺めていると、なんだか凄く同情的な気持ちが湧いてくるのだ。名字が変わる女性たちを見ていると、「いいなあ、私も変わりたいなあ」と思うし、幾度となく退職者のアカウント削除を繰り返すうち、「なんでこんな多くの人が辞めていく職場に、私はしがみついているんだろう」と考えてしまう。やれ、「神、またはそれに等しい存在が、人間へと興味を持って、堕天する」という作品は、例えばキン肉マンの完璧超人始祖編など、古今東西に存在するが、なるほど気持ちは分かるというものだ。
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水弾が、ランダムで飛ばされる場合と、パターンで飛ばされる場合があって、どっちも綺麗! |
というわけで。「エルシャダイ」は、はるか昔に1周だけ、斜め読み気味にプレイした程度にも関わらず、奇妙な印象を残しているゲームである。
…いっぽう、手放しで称賛できる要素もあり、それはBGMだ。本作の楽曲は、元カプコンの、モンスターハンターのテーマ曲である「英雄の証」を作った、地味に大御所の人が担当をしている。ただし、「モンスターハンター2」の雪山戦(『ポータブル2nd』でも使用)のBGMと同じく、エルシャダイ曲でも盗作疑惑があったりするのだが、まあ、それについては、軽く触れるのみに留めておくことにしよう。
では、そんなエルシャダイのBGMについて、具体的に2曲を挙げてみよう。
…まずは、「悲壮なる叫び」(【YouTube】)という楽曲だ。第1の大ボスである「サリエル」という天使のテーマ曲であり、バイオリンを主旋律に据えた優美なメロディに、ゲームチックなリズムが印象的だ。サリエルは、人間の愛に憧れて堕天をしたという設定であり、どう考えても「私」とか言いそうな見た目と声質にも関わらず、一人称は「オレ」である。「ヒトの“愛”は無限の力を秘めている……。オレはその“愛”に憧れて堕天した」というセリフには、「せやろか」と思いつつも、どこか納得させられてしまう迫力があるものだ。
――また、もう1曲は、「予感」(【YouTube】)という名称であり、終盤のボスである「アルマロス」という敵との戦闘BGMとなっている。この敵については、“観客の居るライブ会場”といった謎の世界観で戦うことになり、前哨戦においては、敵のダンスが画面を覆い尽くすなど、冷ややかな雰囲気の演出が為される。ただ、実際のボス戦に入るとガチであり、“ロックとオーケストラの超融合”といったカッチョいいBGMの中で、1vs1の死闘が繰り広げられる。敵の芝居掛かった歩き方や、弾幕STGのような美しい水弾は、「あー、いたいた、こんな奴!w」と、懐かしく思い出せるものだ。
そんなわけで。「エルシャダイ」というゲームは、やはり、私の中に奇妙な印象を残すゲームだったと言える。
…やれ、ここ数年くらいは、「良ゲー」「神ゲー」「虚無ゲー」など、分かりやすい属性のゲームを遊ぶことが多かった。だが、「エルシャダイ」や「マザー3」のように、少し変わった作品に触れるのも、“文化の栄養バランスを整える”という意味で、好ましいことであろう。忙しい日々だけど、もっといっぱい、様々なジャンルのゲームを楽しんでいきたい!
(2025年7月25日)
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