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管理人の日記
インドには、「野良牛」という言葉があるらしい…
ホーリーホクッ |
インドは、これから大きな経済発展が見込まれる国である。では、その経済成長の恩恵を受ける「インド株(Nifty50)」は、投資対象として、魅力ある商品と言えるだろうか。結論から言うと、私は買っていない。
…まず、インド市場の魅力について述べてみよう。人口14億、既に中国を追い抜き、世界1位となっている。また、若者が多いのも特徴であり、昭和の日本も受けた「人口ボーナス」を、これから享受できると考えられる。そして、インドの人々は、古くは、数字の「0」を生み出したと言われていることを皮切りに、最先端技術に明るいとして知られており、例えばGoogleの現CEOは、インド系アメリカ人だったりする。
――その他、エンドロールで唐突に踊りだすということでお馴染みのインド映画だったり、三大宗教に匹敵する勢力を持つ、ヒンドゥー教の聖地が存在したりすることなど、インドには、他の国家には無い、様々な独自性が存在する。単純な経済市場というだけではなく、文化や思想においても、世界トップを張れるポテンシャルを秘めていると言えるのだ。ちなみに、当サイトの表示に使っているプログラム名の「Trishula」「Mahatmya」「Shambhala」も、全てインド神話をモチーフとしている(どうでもいい)。
では、何故そんなインド株を、私が買わないかというと…短期/中期/長期の評価基準を総合し、アメリカ株に勝てないと判断したからである。
…やれ、「インドの経済がこれから伸びる」なんてことは、ニュースを見れば誰でも知っていることであり、私もそれ自体は否定しない。だが、世界各国の株を自由に取引できるネット証券においては、つまるところ、「鉄板である全世界株やアメリカ株に勝てるか」ということが重要だ。もっと具体的に言うと、投資信託なら「eMAXIS
Slim 全世界株式」や「楽天 S&P500
インデックス・ファンド」、ETFなら「NF
S&P500 ヘッジ無 [2633]」といったド定番商品に比べて、何らかの利点を持っているかという観点で比較検討をしなければならない。なお、世の中に存在する金融商品の99.9%は、これらと比べて劣るため、株を買う際には、ゴミ袋からまだ生活に使えるものを引きずり出すような作業となる。
――では、インド株はどうなのかと言うと、区切る期間によっては、値上がり率が、米国株式であるS&P500を超えていることもある。こういう条件を付けたということは、つまり、超えない場合もあるのだ。実際、「2024年」「過去1年」「過去5年」という3つの評価基準を持ち出して、ETFである「NF
インド株 [1678]」と「IS S&P500
米国株 [1655]」を比較してみると(※2633は、最近できたETFなので、ここでは利用しない)、全ての比較対象で、米国株であるS&P500のほうが上回っている。
さらに言うと、私は、インドから、世界を大きく変えるようなムーブメントが発生するとは、どうにも思えないのだ。
…例えば、インド企業から、「ウィンドウズ」や「Google検索」「iPhone」のように、我々の生活に“必需品”と言えるレベルで定着するサービスが、これから30年くらいで何個も現れてくれるかというと、正直言って、出てこないと思う。それどころか、経済規模としては、その前段階に位置するであろう、「マリオ」「ポケモン」や「プレイステーション」ですら、インド版のそれが登場するかどうか、怪しいものだ。
――やれ、私が幼い頃には、今のインドと似たような成長株として、「中国」の名が、よく挙がっていた。確かに、その株価指標の一つとされる「上海総合」を見てみると、90年代には、10年で20倍に伸びるなど、景気良く成長をしていたようだ。だが、2007年に、バブル的な高値を記録した後は、ずっと揉み合いの状態が続いており、もう20年近く、最高値の更新を迎えられていない。そうこうしているうちに、中国の人口ボーナスは終わってしまい、高齢化の時代が訪れてしまった。中国は日本だった…??
※ギャグではなく真面目なシーンです |
そういうわけで、今は明るい話題が多いインドだが、中国のように、突如として沼に足を取られ、そのまま停滞する危険性は、否定できない。そんな中で、変わらず世界経済の中心であり続けているのは、やはりアメリカ株である。もう、ここ100年以上、米国株式は、順調に伸び続けているのだ。
…やれ、この先、「AI」「半導体」「電気自動車」「ロボット」「蓄電池」といった、お馴染みのハイテク製品に加え、「バイオテクノロジー」「代替食品」「再生医療」といった生物化学、「レアメタル」「石油」といった素材、そして「宇宙」「ナノテクノロジー」といった未知なる分野、その他にも「大学教育」「物流革命」「防衛装備」など、気になる経済ワードは幾つも存在する。
――だが、そういった世界の革新が、アメリカを中心とした現在の先進国からではなく、インドから生まれ続けるという状況は、どうにも想像しづらい。この日本ですら、例えば「ゼルダ」や「ファイナルファンタジー」「遊戯王カード」など、娯楽文化において、今なお独自の影響力を持ち続けている。先進国と新興国には、それくらい、圧倒的な違いが存在するのだ。
ここで、イメージを膨らませるため、別の基準で考えてみよう。近代社会において、経済力と軍事力は、ほぼイコールになる。アメリカ合衆国と、単純な全面戦争を行ったとして、勝てる国があるだろうか。恐らく、存在しないだろう。それは「アメリカ合衆国vsその他の全ての国」などと極端な状況を考えてみても同じであろうし、何なら、現在ではなく、過去や未来の特定時点を想定してみても、同一の結論に達すると思われる。“生まれたてのアメリカ合衆国を、その他の全ての国で袋叩きにする”…逆に言うと、それくらいでしか勝てないということであるな。
…つまるところ、アメリカは、それだけ総合力に優れた国家であり、それがこの先10年とかで見る影もなく没落してしまうような姿は、そう簡単には想像できない。つまり、私は、総合評価で、インド株はアメリカ株に勝つことはないと考えているので、特別にインド株を買うことはしないのだ。
――やれ。もちろん、インドはこれから大きな成長をしていく国家であるため、その株式市場に投資をすることで、極端に損をすることは無いだろう。だが、世界経済には、インフレバトル漫画の主人公みたいなバカタレが存在する。だから、どうしても、それとの比較による評価になってしまうのだ。
ちなみに。投資界の五条悟:「eMAXIS
Slim 全世界株式」には、世界各国の株が含まれているが、その具体的な内訳(2023年9月)としては、62.3%がアメリカ株となっている。ちなみに、意外なところとして、単一国家としての2位は日本であり5.5%、その他、イギリスやカナダなど、現在の「先進国」とされる国々で、全体の89.3%を占めている。
…そして、残りの10.7%を、「新興国」枠で奪い合っており、中国3.2%、インド1.7%、などとなっている。ちなみに、韓国(人口5163万人)と台湾(人口2357万人)を比べると、3位の台湾1.6%に対して韓国は4位で「その他」扱いだ。五条先生の、厳しすぎる通信簿である。
――しかし。私は、この評価は、至極妥当だと思う。つまり、現状のインドは、投資対象として、アメリカの1/40の魅力しか存在しないのだ。やれ、これから数十年で、インドが一気に40倍の経済成長をするというのは、さすがに、考えづらいであろう。そして、もしそんな事態が起こったとしても、「eMAXIS
Slim 全世界株式」を買っていれば、入れ替え戦によって、自動的に投資する国家が入れ替わってくれる。やはり、独自にインド株を買う必要は無いという結論になってしまうのだ。購入するとしても、いま現在の評価では、お楽しみ枠として、ポートフォリオの一部に含めるというくらいかな…。
(2024年6月14日)
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