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管理人の日記
カレーの具は、キノコもいいけど、ふと、昔ココイチで食べた海鮮の味を蘇らせたいと思った
新しい料理か何かかな?
と思ったら… |
日曜日、「PayPayポイント運用」で、衝撃的な発表が為された。ポイントを投じられる新コースとして、「テクノロジー
チャレンジコース」「テクノロジー逆チャレンジコース」というものが追加されたのだ。投資界隈で今も語り継がれる伝説の黒歴史、「レバナス」が爆誕してしまった…。
では、まず、基本事項から紹介をしていこう。「PayPayポイント運用」は、キャッスレス決済で有名なPayPayで得られる「PayPayポイント」を用いた、簡易的な株式投資のサービスである。個別株ではなく、アメリカ市場全体に投資をするというド王道な形式であるため、中長期の保有によって、安定してポイントを増やしていける。
…実際、株オタとなっている私目線から見ても、99ポイントずつ投入することで1%の購入時手数料を踏み倒せること、売却時手数料や税金が掛からないこと、「これ、本当にアメリカ株に依存しているの?」というくらいにパフォーマンスが良いこと、そしてETF扱いなので必要時に即座に引き出せることなど、メリットが大きい。似たようなサービスである「楽天ポイント運用」(※既に崩した)と比べても、明確に優れていると言える。ここに6桁ポイントを注ぎ込み、やがては業◯スーパーの支払いを全て肩代わりしてもらおうかなあ…と思っているくらいだ。
――ちなみに、PayPayポイント運用には、これまで、5つのコースがあった。「金(ゴールド)コース」は、アメリカの金価格に連動して価格が変動する。「テクノロジーコース」は、主にアメリカのハイテク企業に投資を行うものであり、「NASDAQ-100」や「インベスコQQQ」とも呼ばれる。「スタンダードコース」は、米大企業:500社に投資する内容で、「S&P500」という指数に連動をしている。最後に、「チャレンジコース」「逆チャレンジコース」は、S&P500を参照するが、それぞれ3倍のレバレッジ(ブル)、およびインバース(ベア)が掛かっている。そして、そんな中に、NASDAQ-100に基づきながらも、+3倍、-3倍の値動きをする、「テクノロジー」版の、「チャレンジ&逆チャレンジ」が追加されたのだ。
次に、本日のメインとなる「レバレッジ(レバ)」という用語について説明をしていこう。レバレッジとは、英語で「
…さて、これだけを書くと、非常にレバレッジ型の商品は魅力的に思える。何故なら、世界全体の株価は、上がったり下がったりを繰り返しながら、中長期的には必ず成長をしていく。ならば、日々の変動幅が2倍になるのは、時間を加速しているようなものであり、純粋に儲けを増やせるからだ。
――しかし、実際には、レバレッジ型の商品には、落とし穴が存在する。それは、「上下が対等ではなく、下げ相場に弱い」ということだ。例えば、100円だった株が、80円に下がったあと(-20%)、また100円に戻ったとする(+25%)。レバレッジでない通常の株取引ならば、当然、損益は±0円だ。しかしながら、レバレッジを効かせていると、まず100円から60円になり(-40%)、次に60円から90円に変化する(+50%)。株価が戻ったのに、値段が戻らない。逆のパターンとして、100円→125円(+25%)→100円(-20%)と変化した場合も、2倍レバレッジだと、100円→150円(+50%)→90円(-40%)、3倍レバレッジだと、100円→175円(+75%)→70円(-60%)と、元より値段が下がってしまう。何が何だか分からないが、これが現実なのだ。
というわけで。レバレッジ型の商品は、長期保有をするとどんどん不利になるため、基本的には、上げ相場の時に買って、すぐに売ることで、利益を確定させるという方式に使われる。だが、そんなものが分かっていれば苦労はしないということで、取り扱いが難しく、上級者向けの商品となっている。ちなみに、それに加えて、逆の値動きをするインバース型については、予言者専用であり、常人に取り扱える物質ではない。ちなみにこちらは、「まず株を売ってマイナス1株などとし、そのあと買って0株に戻す」という方式を用いている。
「100万ギル(さあ断れ)」→「なんとかなるかもな」→【ええ゛っ?】の流れは良かった |
さて。では何故、冒頭で書いた、「レバナス」=「レバレッジを掛けたNASDAQ-100商品」が、投資界隈の黒歴史とされているのかと言うと…どうも、私が投資を始める少し前、2021年から2022年くらいの期間に、“投資系インフルエンサー”を称するビョーキのような奴らが、儲かる手段として、やたらと「レバナス」を推していたらしいのだ。
…しかしながら、2022年は、それまで絶好調だった/そしてその先に絶好調となる米ハイテク株が、大きく足踏みをした1年となった。例えば、少し前に書いた「ウェルスナビ」の記事でも、全世界株は、2022年だけマイナス成長となっている(【該当部分】)。ハイテクに特化したNASDAQ-100の変動は更に大きく、一時は、年明け時の-30%程度になっていた。レバナスは、この際に壊滅的な被害を受け、評価額が半分以下になってしまったという。
――具体的に考えてみよう。私の貯金は、投資や一時的な借金で増えた分を除くと、300万円程度である。それが、僅かな期間で150万円に減ってしまったとなっては、穏やかではいられまい。過去を振り返ってみると、3月に、投資資金のうちの一部が、たかだが1割弱…2桁万円にギリ達するくらいの下落を経験しただけで、頭の中が真っ白になってしまったものだった(【日記:2024/3/15】)。全財産が-50%なんて事態になったら、たぶん、少なくとも、投資界隈の人間としては、もう生きてはいないだろう。そんな世界に、「レバ」も「ナス」も知らないような人が放り込まれた。「レバナス
死亡」などのワードで検索すれば、この手の話が、死屍累々と積み立てされている。かくして、このような悲劇を生み出した「レバナス」は、投資界隈の黒歴史として、その後に投資を始めた私の世代にまで語り継がれているのである…。
ただし。レバナスについても、必ずしも買ってはいけない商品というわけではない。まず、前述の通り、上昇局面を見切って短期運用をできるなら、桁外れの大きなリターンを得ることができる。一攫千金的な夢があることは確かだ。
…また、レバナスに、更に“積立投資”を合わせた、「ツミレバ」なる用語も存在する。当初の私は、“長期保有に向かないレバナスを、長期で積立させる”という意味で、特級呪物以外の何物でもないと思っていたのだが、実はこれは合理的であり、下落相場で値段が大きく下がることで、より多くの口数を買いやすくなる。実際、2022年の下げを経験しても、ロンズデーライトの精神で積立を続けていれば、現在では再び大幅なプラスに転じているという。
――もっとも、2022年を除いて、ここ数年は2桁成長というボーナス相場が続いており、レバナスの肯定的な実績は、それを前提にしているということもある。私は、将来に渡って、ここ数年のような状況が続くと考えるのは、楽観的すぎると思っている。だから、基本に立ち返り、レバレッジ型の商品は、長期保有に向かないとして、1つも購入していない。上昇時の勢いは凄いが、下落時はそれ以上で、“必ず勝てるギャンブル”という、株式投資の一番良いところを失ってしまうからだ。
さて。そんな、曰く付きの「レバナス」=「テクノロジー
チャレンジコース」が、この日曜から、PayPayポイント運用に追加されてしまった。やれ、PayPayは、ここまで私に多くのポイントを付与してくれたが、あまりにも配りすぎたと判断したのか、ここらで削りに来たのかもしれない。
…いや、逆かな。むしろ、PayPayは、「ポイント運用」という、お試しのようなサービスで、レバレッジ型のリスクを教えてくれようとしているのかもしれない。ここ最近のように、米ハイテク企業の右肩が続いているうちは良いが、今の日本株のように打ち合いの状態が続いてしまうと、あっという間にレバレッジ型は資産価値を失っていってしまう。だが、“ポイント”については、多くの人はおまけ程度であると考えているだろう。そういう枠を使って、あえてレバナスという悪魔の沼へ引き込み、世の中、そんなに美味しい話は無い…ということを教えるのは、長い目で見れば、資産形成にプラスとなってくれるはずだ。うん、作者の人、そこまで考えてないと思うよ。
――そういうわけで。PayPayポイント運用に新規追加された、「テクノロジー
チャレンジコース」は、間違いなく、あの黒歴史:「レバナス」そのものである。だが、レバナスは、ただの砂上の楼閣というわけではなく、そこに間違いなく、夢も存在した。ポイント運用という、お試し感覚のサービスで、それを蘇らせるのは、ある意味で正解かもしれない。私は買いませんが、頑張れる人は頑張ってみてください…。
(2024年6月10日)
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