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管理人の日記
これでピクセルリマスターも、本当にギリギリですが、新規層に勧められるくらいにはなったでしょうか…
一応、CS移植に際して、いくらか再調整が行われたようだ |
本日午前10時頃、“ピ”こと、「ピクセルリマスター」の、PS4/スイッチ移植の発売日が、4月20日であると発表された(【YouTubeの新トレイラー】)。
…まず、“ピ”については、今さら特に述べる必要は無いであろう、先にPC&携帯電話で登場していた、FF1〜6の、みっともない劣化移植である。私は既に、呆れて声も出ないという感じであるため、詳しくは、【タグ:コレジャナイ感】の記事を読んでいただきたい。
ただし、私が注目した点は、今回のPS4/スイッチへの移植に際して、幾つかの再調整が行われたらしいということである。
…まず、最も大きいのは、原作BGMの追加だ。“ピ”では、ドット絵のゲームで使われる楽曲ということを度外視した自己満足のアレンジBGMが採用されており、“ピ”のコレジャナイ感を象徴するエピソードの一つとして知られていた。
――しかしながら、今回、原作(FC&SFC版?)のBGMが収録され、ゲーム中で自由に切り替えられるようになったということで、少なくとも、楽曲についての不満点は無くなった。まあ、決定版を名乗るくらいなら、それこそPS・GBA・ワンダースワン・PSP版など、各バージョンのBGMを収録しても良いくらいであるが、それはさすがに高望みか。いやでも、FF12のゾディアックエイジ版では、新規収録に加えて、PS2音源・サウンドトラック音源の3種類から選べたし、現行機であれば、それくらいはできておかしくないんだよね…。
また、その他の点においても、一応は、細かい調整が行われているようだ。
…例えば、FF6のオープニングは、“魔導アーマーが画面手前から奥へと歩いていき、その間に主要スタッフの名称が表示される”という、今回は映画的な演出をやりたいんだな…とプレイヤーに印象づける表現が為されていた。だが、旧ピでは、スタッフ名の演出が削除され、ただ単調にアーマーが歩いていくのを2分間見せられるという酷く退屈なシーンに変わり果てていた。しかもそれで、過去作ではスキップ可能だったのを不可能にしてしまったのだ。これもまた、“ピ”のスタッフが、原作の良さを全く理解していない典型例の一つとして語られていた。
――しかしながら、今回のPVを見るに、同シーンに「ORIGINAL
MUSIC COMPOSER & MUSIC SUPERVISOR: Nobuo Uematsu」と表示されていることが分かる。いや、これでやっと原作に戻っただけなのだが、それでも一応、進歩は進歩であると言える。
また、前向きな要素として、経験値・ギル・ABPなどのブーストや、ランダムエンカウントのカット機能が新規に作成されたようだ。これらは、難易度調整に使えるというほか、もし「経験値0倍」があるのなら、これまでにない低レベルプレイなども楽しめるだろう。また、単純に難易度の上下という以外にも、例えばFF5では、ABPの大量稼ぎがゲーム終盤にならなければ行いづらく、せっかくの多彩なアビリティを活かしきれていない感があった。各種のブースト機能により、そういった面での遊びやすさの向上も期待できるだろう。
…そして、フォントをドット風に変更する機能が追加されたり、FF6のカイエンの必殺剣に命名できるシステムが復活したりもしているそうだ。こんなものをCS移植の目玉として喧伝しているのには頭が痛くなるが、確かに、かつてのピの出来を知っていると、気持ちは分かるというものである。
――その他、映像を詳しく見て、気付いたところも挙げてみよう。私は、“ピ”のPC&スマホ版のバージョンアップを細かく追っていたわけではないので、既に改善済なのかもしれないが、FF4のジャンプが原作同様の「戻りながら落ちてくる」になっていたり、FF5の味方側バハムートのガビガビドットが元通りになっていたり、戦闘中のポーズからソフトリセットが可能になっていたりという改善点が分かる。また、映像の範囲内から分かる、独自の調整として、FF6崩壊後のデスゲイズが黒い雲のようなエフェクトで表示されている(事故的なエンカウントが減るかわりに、出会いやすくなるので、一長一短?)という点が存在する。これらから判断するに、ピのスタッフにも、「さすがにPC&スマホの初期バージョンのような汚物を、FFの決定版として長く出しては駄目だろう…」という、多少の良心は有ったようだ。
まあ、本当のギリギリのギリギリで、合格点を与えられるかな…という程度 |
さて。私は、“ピ”の3大クソ要素は、「匠(笑)のドット」「自己満足BGM」「追加要素削除」だと思っていた。しかしながら、今回の移植に際して、その一角が突き崩されたことにより、多少なりとも印象は良くなった。
…というわけで。まあ、私は既に、過去の“事実上の決定版”をプレイできる環境を整えているため、新規に“ピ”を買うことは無い。ただ、FF1〜6については、WiiU/3DSのオンラインストアが先月末で閉店した結果、中古パッケージ以外だと既に、Vita(VitaTV・PSP・PS3)でしか購入ができなくなっている。そのため、新規ユーザーにとっては、ほぼピしか選択肢が無く、どちらにせよ、ピで満足するしかないという状況になっていた。
――そういった環境面と、今回のCS移植に際しての「原作BGMの収録」という大幅な改善、そしてその他の調整による“原作の良さを引き出そう”という意欲が多少は見られることから、ギリギリのギリギリで、「ピクセルリマスター」は合格点に達したと言えるのではないだろうか。ただ、留年しそうな学生をギリギリ救ってやるという感覚ではあるが…。
そういうわけで。PS4/スイッチ版の「ピクセルリマスター」は、原作BGM追加などの改善が為されたことで、「可」の単位をギリギリでは与えられるくらいの出来にはなったと思う。値段は、『1』と『2』が1480円、『3』〜『6』が2200円、6作セットで9172円と、まだまだ割高感がある。だが、半額セールくらいで登場すれば、原作が飛び抜けた名作であることもあって、まずまずの満足感を得られるであろう。
…ただ。言うまでもなく、これでもピクセルリマスターが「決定版」「完全版」などと、前向きな評価ができる作品になったわけではない。それを目指すのなら、匠(笑)のドットなどは全て処分しなければならないし、GBA版やPSP版での追加要素も収録すべきだ。また、各バージョンの違いを比較して深く楽しむという需要に応えるためにも、旧バージョンを削除するなどもってのほかであり、選択肢の一つとして、現行ハードで復刻をすべきだ。そして、ピをベースとしていない、本当の意味での“決定版”(特にFF5と6)も、新しく考えていかなければならないだろう。
――もっとも、結局のところ、今から新規層に勧められるドット時代のFFは、現実的にはピクセルリマスターしか存在しない。だから、それがマイナス100点から、49.999999...の50点くらいになったことは、FFシリーズの未来にとって、ほんの少しだけ良かったと言えるかな…。
(2023年4月6日)
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