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管理人の日記
彼女でも無いのに私を下の名前で呼ぶな(そこじゃない)
なんでこんなに細かく把握されてるの…気持ちわるっ |
携帯電話の位置情報を使った地図機能は大変便利であり、最近では都市圏の駅で降りても迷うことが無くなった。
…しかしながら、私は、ふだん位置情報をOFFにしており、何らかの理由で一時的にONにすることすら、ためらいを感じている。その理由は、Googleが位置情報を収集したうえで、わざわざストーカーのようなメールを送ってくるからだ。
では、具体例を出してみよう。私が、今から2年ちょっと前の、2019年12月に受け取ったメールである。送り主は「Google
Maps Timeline」、どう考えても公式のグーグルであり、それを騙った偽メールということは無いであろう。題名は「〇〇さん(私の本名)、11月のハイライトをお届けします」という、明るく楽しげなものである。この楽しげな表現が、後述する内容の異様さを加速させている。
――そして、その中には、地図や移動距離といったデーターに加えて、「訪れたスポット」として、「ブックオフ
××店(地名が書かれた実在店舗)」が写真付きで載せられていた。確かに私は、その月に1回だけ、その「ブックオフ
××店」を訪問した。だが、それをGoogleに教えたつもりは無い。つまり、位置情報で「個人が訪れた店舗」を収集し、あろうことかそれをわざわざ送りつけてきたのだ。頭おかしい…。
そういうわけで。私は、このメールに寒気を感じ、以降、位置情報をオフにするようにした。
…ところが。その後も、飛び飛びの時期に、「〇〇さん、△月のハイライトをお届けします」が来ている。この機能は「ロケーション履歴」という名称らしく、それで過去メールを検索して、時期と内容を振り返ってみると、どうも「新しく訪問した都市で行動するため、一時的に位置情報をONにした時」と一致している。つまり、位置情報を一瞬でも使用すると、それで個人情報が収集され、メールで送りつけて来られるのだ。ストーカーかよ!
そ…そうか!
“面白い”か!
そういう捉え方もできなくもないね!! |
さて。ここまでだけでも、十分に気味の悪い話なのであるが、実際には、更に細かい情報が収集されている。「ロケーション履歴」から、「スポット」という項目を見てみると、「ショッピング」「カルチャー」「フード、ドリンク」などのカテゴリに分けられて、やはり実際に訪れた店舗が写真付きで載せられている。また、日付を選んだ場合、地図上にその日の移動経路が示され、滞在時間も1分単位で示されている。しかも、年を跨いで過去に振り返ることも可能である。これほどの詳細な情報を、地球規模の数億人というレベルで、しかも何年にも渡って保存しているのだ。畏怖すら感じる企業である。
…さて。さすがの私も、この情報を画像で公開するのは怖い。上の画像は、「ロケーション履歴」で検索をし、【最初に出てきたサイト様】から引用をしたものだ。その記事では、「自動的に収集される情報が面白い」という趣旨の内容が書かれている。前向きな考え方だね!
確かに、上の図に書かれているように、「小旅行の記録が自動的に取られる」という機能なら面白いだろう。でも、実際には、四六時中の監視が為されているわけで…。
では、私の場合を、文字だけで挙げてみよう。例えば2017年4月4日(火)には、まだ大阪に住んでいたのだが、どうもその日は職場内で動き回った後、18時17分までには退勤し、まずは自転車で少し離れた床屋まで行ったようだ。髪を切ったのは18時29分〜49分である。その後、更に移動をして「TSUTAYA
□□店」に18時53分〜19時00分までの8分間滞在したあと、道中の「セブンイレブン
☆☆店」で7分間買い物をして、19時12分に「大阪府〇〇市××町△丁目□☆◇」に着き、その日の移動を終えたようだ。ここに、Googleということで、「本名」「検索している文字列」「ID・パスワード」等が結び付けられており、移動経路も地図上に表示されている。“個人を特定”どころか、もはや会ったことがなくても人格すら分かるレベルであろう。
――そして、収集されている情報の種類についても、恐ろしい。例えば、私は、大阪に住んでいたときには、まだゲームセンターで「ダンスダンスレボリューション」を遊ぶ習慣が残っていたのだが、近所のとあるゲーセンには、7回訪れたという私ですら知らなかった数字が集計されている。また、いま滞在している場所から徒歩数分で行ける公園があり、地元民しか知らないような場所なのであるが、そこですら写真・名称が載っている。その他、「日本(建造物)」と書かれている場所が複数あり、これは何のことかと思ったら、隣の家の庭が勝手に写真に写されていた。洗濯物が干されているところが写っており、そこから容易に人数や年齢層を推測できるだろう。一応、車のナンバーだけはボカされていたが、それだけである…。
さて。Googleの「ロケーション履歴」には、こういった背筋の凍る個人情報が並んでいるのだが、幸い、私のデーターに残っている日付は、ほとんどが「2年前」だの「3年前」だのと、年単位での昔となっている。やはり、位置情報を切る習慣を付けたことで、情報がGoogleに送信されなくなったのだ。よって、今後とも、どうしても必要な場合を除き、位置情報は切ることにしたい。
…また、「ロケーション履歴」自体も、全体でオフにしておいた。こんな、勝手に情報を収集して、しかも「お前のことは分かっているぞ」とわざわざ送りつけてくる機能が、欲しいわけが無いだろう。
――もっとも、こうやって機能をオフにしていたとしても、Google側がこっそりと情報収集をし、それが秘密裏に送信されていたとしたら、我々の側には一切の対抗手段が無いことになる。よって、「Googleに絶対に収集されたくない」、または「他の個人情報と紐付けされたくない」という行動は、普段遣いのPC・普段遣いの携帯電話を使わない、そして外出時にも携帯電話を持ち歩かないという対策が必要となる。たぶん、本当に情報管理が重要な人たちは、既にそういうことに気を付けて行動をしているのではないだろうか。ちょっと、携帯電話は便利になりすぎたのだ…。
反対すべきは、政府ではなく、Googleだったのかも |
ただ、こうやって「個人情報を収集されたくない」と思っているものの、体は正直で、残念ながら私はGoogleに飼いならされているのである。
…というのも、少し前に遠出をした際には、「無闇に位置情報を教えたくない」という理由のほか、「携帯電話が壊れる事態」まで想定し、あらかじめ周辺の地図を印刷しておき(これさえGoogleマップなのだが…)、それを使って目的地まで辿り着くつもりであった。しかしながら、都市部の駅であったため、出た瞬間に現在位置が分からなくなってしまい、15分ほど歩き回ったのちに、結局は携帯電話の位置情報に頼らざるを得なくなった。
――いや、違う。他にも、「諦めず探し続ける」「現地にある地図を見る」「歩いている人に聞いてみる」などといった策は取れたはずなのに、それを選ばなかった。「位置情報を使えば良い」という甘えが、「目的の場所に自力で辿り着く」という根本的な能力を劣化させてしまったのだ。こうまで習慣づいてしまうと、もはや紙の地図を使うような生活には、自分からは戻れないだろう…。
やれ。私が子供の頃には、「住基ネット」や「マイナンバー」といった名称で、日本政府が個人情報を電子化して管理しようという流れがあった(今も?)。それに対して、新聞では、顔にバーコードのような模様を塗って、「私に番号を付けるな」と抗議をしている人が載せられていた。それに対して、私は「内部的に番号を付けないと、コンピューターで管理できないだろ…」と、冷めた目線で見ていたことを覚えている。更に、どこの新聞か忘れたが、投書欄には、「将来的には、政府に『国民番号2314800さん、今日は○○を買って××を食べましょう』と管理される社会が来る」などという投稿があった。それについても、私は「そこまで政府が管理することは無いだろうし、仮にされたとして、私の個人情報なんでどうでもいい」と思っていた。
――しかしながら。これらの危惧は、政府ではなく、いち企業によって実現された。Googleは、収集した個人情報を使い、「○○の店で××を買いませんか!?」と勧めてくる。そのための無料サービスである。検索エンジンを含む様々なサービスが無料なのは、それで個人情報を収集して、効果の高い広告を見せるという狙いがある。しかも、それがしっかりとビジネスとして成り立っているのだ。
というわけで。もう、Googleは、情報分野においては、国家よりも遥かに強い影響力を持っている。携帯電話が1人1台となった以上、そこに必ずGoogleが潜んでいる。位置情報はもちろん、名前と住所、個人間の会話や興味関心、休日の過ごし方、よく買う品物、全てインターネットから収集可能だ。
…もちろん、位置情報をオフにする、「個人情報を送信しない」にチェックに付ける、などという対策もある。だが、そんなものは、悪意があれば一発で無効化可能だ。なにせ相手は、収集した個人情報を、「○○日に、ブックオフ××店に行きましたね♪」と楽しげに送ってくるようなヤベぇ奴である。根本的に、情報に対する考え方がズレている。全幅の信頼を寄せろというのは、無理な話だよなあ。
――そんなわけで。あとは、Googleが軍隊を持ち、対立企業を力で抑圧するようになれば完璧である。「ファイナルファンタジー7」や「エースコンバット3」で見た、“企業が国家を超える力を持った社会”、ディストピアの出来上がりだ。
(2022年2月27日)
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