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管理人の日記
「逆転裁判4」の評価点は…………5と6が出たことです
1,2,3はね、さすがにもう遊び尽くしたから、次はこっちを何とかして欲しい |
「逆転裁判」は、カプコンから発売されているゲームシリーズであり、20年前の成功と15年前の大失敗を引きずっているタイトルとして知られている。
…まず、「逆転裁判」については、GBAやDSなどの携帯機で最初に発売され、現在は携帯電話・スイッチ・プレイステーションなど、様々なハードに移植されている。その公式ジャンルは「法廷バトル」とされているが、要するに、推理要素のある話を読み進めていく、ノベルゲームと言える。ただ、「裁判」をテーマとした分かりやすい対決構造に、ぶっ飛んだキャラクターや話の流れなどが人気を誇り、推理ゲー界に絶大な新風を巻き起こした。
――やれ、私が初めて逆転裁判に触れたのは、中学生時代に、『1』をクラスメイトの女子(←
…???)から貸してもらったことがきっかけである。カプコンゲーとしては異質の、女子にも人気のタイトルであったのだ。そうして、「逆転裁判」は、GBAにて『1』『2』『3』と順調にシリーズを積み重ねていった。これが、「20年前の成功」である。
しかしながら、逆転裁判は、『4』で歴史的大失敗を犯した。こちらが、「15年前の失敗」である。
…さて、『4』の発売当時である2007年は、DSブームの絶頂期であり、知名度のあるタイトルは“出せば売れる”という時代であった。そんな中で、『3』から3年が経ち、満を持して「逆転裁判4」が発売された。しかし、どういうわけか、根本から物語が崩壊しており、全くの駄作であった。やれ、推理ゲームにおいては、ストーリー…つまり、「犯行のトリック」「犯人の動機」「それらの明かし方」などが、最重要のポイントとなる。そういうところが根底から狂っているのであれば、他の何が良かったとしても、気休めにしかならないのだ。RPGのように、「戦闘は良かった」などという評価は不可能なのだ。
――ちなみに、私の初プレイ時の感想も、かつての日記に残っている(【日記:2007/4/25】)。当時の私は、熱狂的なまでの任天堂ブームに違和感をいだいており、それまでプレイしたDSソフトも楽しめたとは言えなかった。そういった印象を、「逆転裁判」が逆転させてくれると思ったのだが、まさかその期待のほうが裏返されるとは思わなかった。その後、任天堂のゲーム機から10年以上離れる理由を作った、決定的なタイトルの1つである。
だが。そんなクソゲー:「逆転裁判4」は、当時のDSブームの追い風を受け、売れに売れてしまった。
…やれ、当時の売り上げ本数は、約50万本である。これをどう評価するかであるが、GBA作品が20万本ほどであったため、2倍以上の人の手に渡ってしまったということになる。2007年の当時は、DL版もマルチプラットフォームも無かったため、この本数が全てであった。その反響は、カプコンから公式に明言されたことは無いのだが、まあ『5』がすんなりとは出なかったことを考えると、内部でも成功作という扱いでは無かっただろう。
――ちなみに、「逆転裁判4」では、“主人公の世代交代”も一つのテーマであったが、それも大失敗したと言える。『4』は確かに、新主人公の王泥喜へと変わったのだが、『3』までの主人公である成歩堂も登場した。そして、そのゲーム内での扱いが大変マズかったため、両方の評価が下落するという最悪の展開となってしまった。逆転裁判は、キャラゲーとしての側面があり、関連する映像作品が作られたり、グッズなどが販売されたりしているのだが、だいたい『4』は無かったことにして、『1,2,3』の時代で止まっている。『4』以降のキャラが出たとして、100%、『1,2,3』キャラとのセットだ。
ゲーム外の展開も、ほぼ全て1,2,3がベースとなっている。4以降も全く出ないわけではないが… |
ということで。逆転裁判は、『1』『2』『3』が名作であったこと、そして『4』がシリーズ殺害レベルのクソゲーだったこと、この2つが非常に有名である。しかし、これらが有名すぎて、その後の経緯は、ほとんど知られていない。一言で表すと、「4ほどは酷くない」というものである。
まず、『4』の後に、同ハードのDSでは、「逆転検事1」「2」の2作が、2009年・2011年に発売された。これは、逆転裁判1,2,3のライバルキャラクターである御剣怜侍を主人公としたゲームであるが、単純なキャラゲーというわけではなく、別視点での推理ゲーとなっている。内容は、本編作品との大きな矛盾もなく、なかなか良く出来ており、「検事2」のほうは、本家シリーズの1,2,3並みという声もある。しかし、これらは、『4』から過去に遡って、逆転裁判1,2,3と同時代を扱ったタイトルであり、当時のカプコン社内における『4』の腫れ物のような扱いを伺わせる。
…その後、ハードを3DSに変えて発売した「逆転裁判5」は、実に前作から6年3ヶ月ぶりのナンバリング続編となった。これがどれくらいかと言うと、私がヴァルファズルLv45が倒したのが逆転裁判4とすると、まつたけ氏がLv70を倒したのが逆転裁判5である(意味不明)。さて、この『5』では、主人公の完全な世代交代を諦めた。かと言って、『4』が無かった並行世界に変更するということもなく、「『4』の後の時間軸で、2人の主人公をダブル主人公として扱う」という作風になった。そうして、内容がどうなるか注目されたが、物語の大きな破綻もなく、「1,2,3には及ばないが、4よりは良い」という程度の評価を得ることができた。私は、感想記事こそ書いていないものの、3DSとiPhoneで2周しており、なかなかお気に入りの作品である。
――その後は、スピンオフである「大逆転裁判1,2」を前後の年に挟みながら、ナンバリング新作の「逆転裁判6」が2016年に発売された。この作品では、1,2,3のヒロインであった真宵ちゃんが真宵さんとして再登場することが話題となった。話の内容としては、中国・インド・チベットといった異国をモチーフにした物語が新鮮であるとともに、『4』からの主人公である王泥喜に更なる掘り下げが為され、やっと彼が主人公として相応しくなったという声が聞かれた。これをもって、何とか『4』『5』『6』も新三部作として片付けることができたと言える。私のプレイ歴としては、2018年初頭に携帯電話でプレイをしており、当時の感想を、シリーズ全体の評価として残している(【日記:2018/2/27】)。
おわかりであろうか。上のように、『逆転裁判4』の後に発売した作品の全てが、『1』『2』『3』の成功と、『4』の失敗を前提としているのである。もう、どうやっても、逆転裁判がこのイメージを払拭することはできないであろう。
…ちなみに、カプコンは公式で100万本以上の売り上げがあったタイトルを公表しており、モンハンワールドがぶっ飛んでいることでよく知られている(2021年9月末時点で1750万本)。そのリストの中には、逆転裁判シリーズも1つだけ登場しており、「逆転裁判123
成歩堂セレクション」(PS4、XboxOne、スイッチ、PC
/ 2019年発売。『1』は蘇る逆転も収録。同名の3DS版は集計に入っていない?)が140万本となっている。ただ、1,2,3は、GBAを前提としたキャラクターグラフィックであり、HD移植においても大きく変更はされていない。そのため、現行機だと、昔のフラッシュ動画のような非常にキツい見た目である(【YouTube:PS4版/『1』の第1話』】)。PS4での大画面はもちろんとし、スイッチの携帯モードでも厳しいだろう。3DSですら苦しかったんだから間違いない。しかし、そういうものが、一応はシリーズ最高の売り上げ本数を出しているということで、今も変わらぬ「逆転裁判」の人気を感じさせる。
――さて。そうして、『1』『2』『3』を楽しめた人なら、そのまま『5』『6』も遊べると思う。しかしながら、困ったことに、それら後期2作品は『4』を前提としているため、セット収録するのなら、『4』『5』『6』の3作(王泥喜セレクション?)とするしかない。この『4』は、カプコン的にも嫌な思い出であろうから、わざわざ掘り返したくはないだろう。しかし、『4』を出さなければ、『5』『6』の話は意味が分からなくなってしまう。恐らく、そういう微妙なところが、「逆転裁判456
王泥喜セレクション」を出せない理由となっているのだろう。
ちなみに、先んじてカップリング移植が為された「大逆転裁判1&2」は、海外版が登場していなかったという特殊事情があるようだ。4,5,6は、普通に海外でパッケージが発売されているため、追い風とはならない。
まあ、Vitaと違って、3DSは今のところセールにも出てくるので、まだ遊びやすいのは救いか… |
ということで。逆転裁判は、やはり『4』が最大のネックとなっており、なかなかシリーズ展開が行いづらくなっている。
…だが、これは異様な光景である。もし、他シリーズで例えるなら、最新作であるFF7リメイク(第1弾)の評価として、「主人公がオイヨイヨとか言わなくなりました」「FF10ほどではないが、12,13よりは良いと言える作品」という文章が延々と連なっているようなものである。そんなことをしたら、未プレイの人から「このシリーズは本当に面白いのか?」と思われてしまうはずだ。良かった、FFはそれぞれが独立していて…。
――ただし、例外として、シリーズ内続編であった「ライトニングリターンズ」は、FF13,FF13-2の存在を前提としたような作品であり、評価も「13-2のシナリオの後片付けができた」「13とは異なるゲーム性を実現した」などと、前作・前々作を前提とした評価が行われていた。だが、それはシリーズ内続編であったからであり、FFでの例としてはこれくらいであろう。
では、もし逆転裁判の、「『1,2,3』は傑作だったが『4』が駄目だった」という前提を逆転させたいのであれば、『4』については、トリックや動機などを組み立て直すことが必須と言える。しかし、貴重なリメイク労力を、不人気作の尻拭いに使うというのは、あまり良くない。それならば、新作を作るか、または人気の高い1,2,3を現代風にリファインしたほうが良いであろう。一方で、私は5,6については割と好きであり、こちらはグラフィックが3D化されているので、HD化によって十分に見栄えのする作品となるはずだ。だが、何度も述べた通り、『5』『6』を出すためには、『4』を避けては通れない…。
…そんなわけで。どういうものが望ましいのか、私にも分からないのである。とりあえず、『4』でシリーズを卒業した人は、『5』『6』はそこまで酷い作品にはなっていないので、3DSのセールで手を出せば、値段以上の満足感が得られるであろう。また、現行ハードでリマスターされた「大逆転裁判1&2」も、実質的な前後編であったことが批判されていたが、その問題は解消されており、評価は高いので、私も機会を見つけてやってみるつもりである。
――やれ、同社の「ロックマン」と同じで、過去作が盛り上がらなければ、新作が検討されることすらない。私も、あれこれ言いながら、「逆転裁判」の本編シリーズは全て遊んできているので、その続きも是非ともやってみたい。今のカプコンが本気を出せば、「デトロイト:ビカムヒューマン」級の超進化をした「逆転裁判7」も出せそうであるが…。
(2022年1月12日)
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