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管理人の日記
好きなセリフ:「あ…悪魔なんぞ応援してたら… ろくな お…大人にならねぇぞ…」
その後、「からかっちゃいけないよ!」のほうは、意外な場面で再利用される |
今日は、漫画から好きなセリフを引用してみよう。『キン肉マン』1巻の「大和魂が守ってくれるさ!」である。
…まず、この言葉が登場したのは、第7話「アメリカから来た男」である。【40周年記念サイトのこちらのページ】に、メイン超人特集:テリーマン編その@として、1話がまるまる掲載されているので、そちらを読んでもらったほうが早いであろう。
――では、その内容を説明しよう。新登場した「テリーマン」が、ダメ超人と言われていたキン肉マンと裏腹に、日本での人気を集めていき、ついに政府公式のヒーローとなる。そこに、子供が助けを求めてきたが、テリーマンはお金が足りないと断る。キン肉マンは、そのテリーマンを殴り倒し、子供のために怪獣へと戦いを挑んていく。その際の、「怪獣どころか、日本の防衛軍からすら攻撃を受けるぞ!」というテリーマンの言葉に対しての、「大和魂が守ってくれるさ!」である。言葉の意味は分からんが、とにかくすごい自信だ!
そして。この言葉の何が良いのかと言うと、ここに「大和魂」、そして変身ヒーローものとしての本質が現れていると思うからだ。
…まず、キン肉マンは日本人ではない。当時も既に、キン肉星の産まれであり、ブタと間違えて地球に捨てられたという設定が明らかにされている。そのため、一応は20年ほど日本に住んでいたとはいえ、キン肉マンに「大和魂」が存在するかどうかは怪しいところがある。そもそも、テリーマンの指摘通り、上記の場面では既に国外追放となっているため、日本人扱いでない。また、仮にキン肉マンに大和魂が有ったとして、“怪獣だけでなく日本の防衛軍も敵に回すかもしれない”という状況であるため、「大和魂が守ってくれるさ!」では意味が通らない。だが、そういう、「大和魂が全く関係ない状況なのに、『大和魂』と言って、苦難に立ち向かっていく心」こそを、私は「大和魂」と呼ぶべきだと思うのである。
――ちなみに、この「大和魂が守ってくれるさ!」のセリフ後の展開として、言われたテリーマンは、一度は黙って帰ろうとするものの、キン肉マンの行動に心を打たれたのか、振り返って加勢し、以降はキン肉マンの生涯の友人となる。いっぽうで、「大和魂」については、これっきりのセリフとなる。その後も、「超人オリンピック」という競技会にキン肉マンが日本代表として参戦したり、実在する日本・海外の場所を使った試合も出てくるが、「大和魂」または、それを意識させる言葉は1回も出てきていない。だが、だからこそいいのだ。しつこく連呼されると、どうしても当初の意味が歪んできてしまう。
ちなみに、「キン肉マン」は、戦いによって出来上がる友情を大切にした漫画…というのは、連載が少し進んでからの話であって、本当の初期はボーボボのようなナンセンス系ギャグ漫画であった。しかし、そんな時期に、その後も何十年と続くような漫画のテーマを言い切るセリフが出ていたのだ。まさに、名台詞と呼ぶに相応しい。実際に、私も使ってみたいものだ。まあ、安直な二番煎じで用いたところで、間違いなく大和魂は守ってくれないであろうが…。
――さて。「大和魂」は、日本人だけが持っているとされる精神性であるが、少し使い方を間違えると、独善的なものとなりかねない。だが、別に誰かが「大和魂」を正確に定義したわけではない。だからこそ、私は「弱者を助けたいと思い、行動する心」を大和魂と呼ぶべきであると思う。そして、その心さえ持っていれば、もはや日本人であるかどうかすら重要でない。「大和魂が守ってくれるさ!」は、そういう精神性を見事に言い当てたセリフだと思うのだ。心に愛がなければ、スーパーヒーローでは無いのである。
(2022年1月7日)
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