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管理人の日記
すげえええええ! これ究極のドット絵、初期のFF名作を語り継ぐための決定版だろ!!
さあ、腕立てしてやろう!! |
酷いを通り越して、お笑いのような事態になっている。本日、「ピクセルリマスター(笑)」版のFF4の動画が公開されたのだが、それが笑うしかない出来であったのだ。FF1〜3はスルーした私も、さすがにこれは触れざるを得ない。
…まず、基本事項を復習しておこう。「ピクセルリマスター(笑)」とは、今年春に発表されたFF1〜FF6の移植版であり、「ゲーム性やグラフィックを統一した、今後10年以上に渡ってプレイできるFF1〜6の2D決定版」(【YouTubeの公式動画】より)として、パソコンと携帯電話に配信が為されている(※PS4やスイッチでは、FF1〜6をプレイできないという問題があるのだが、それらの機種には配信されていない)。まず、7月にFF1〜3の発売がまとめて為され、その後にFF4・FF5・FF6が順次配信されるという形式になった。なお、初公開時の私の感想を書いた記事は、【日記:2021/6/14】をご覧いただきたい。
そして本日、ピクセルリマスター(笑)版のFF4の宣伝動画が、海外公式から配信された。では皆さまも、【こちらのURL】からご覧いただきたい。
まず、序盤は、SFC版の「バトル2(ボス戦曲)」をバックに、様々なボス戦のシーンが流れる。この時点では、「思ったより原作の雰囲気を再現できてるじゃん」という感じである。まあドット絵が原作と比べて劣化気味なのだが、そんなことを気にしていたら、後半部分に耐えられない。
…そして、1分地点を前にして、音が不穏な雰囲気になっていく。どうも、アレンジ版に少しずつ入れ替えるという演出のようだが、そういうのはやめてくれ。そして、名場面である「けんを
おさめ たえるのだ!」のシーンでは、なんと暗黒剣が反対側に飛んでいくという第1のお笑いシーンが訪れる。“暗黒”というのは、尻から出るので物理的に汚いという意味だったのか。
――その後は、グラフィックとのミスマッチが凄まじいアレンジBGM(※SFC版BGMとの切り替えはもちろん不可能)とともに、第2のお笑いシーンであるカイナッツォが現れる。FF4のカイナッツォは、「ゴルベーザ四天王」の1体であり、津波攻撃をするために水を集めるが、その際に雷魔法を受けると、水が消滅するという仕掛けが用意されている。しかし、ピクセルリマスターでは、何故か「水が有るとき」と「無いとき」のグラフィックに高さの差があり、“両者が点滅しながら変化する演出”も、SFC版からそのまま引き継いでしまった。よって、ガクガクと上下に震える不審な敵となってしまったのだ。敵を目の前にしても、自己鍛錬を怠らないとは、さすが誇り高きゴルベーザ四天王である。もちろん、オリジナル版にこのような演出は無い。「バトル2」のテンポに合わせて腕立てをしろ、とでも言っているのだろうか?
ちなみに。私は、魔法エフェクトに関しては、予想より良いと思ってしまった。だが、これは、どうやらFF1〜3と同じものを使用しているようだ。
――なるほど、確かに「ゲーム性やグラフィックを統一する」と言えば聞こえは良い。しかし、身も蓋も無いことを言ってしまえば、使いまわしということだろう。そしてそうなると、FF6の美麗なエフェクトの数々も、味気ない統一演出となってしまうのか。ご存じの通り、FF1,2,3,4,5,6は、ハードも時期も世界観もゲーム性も、全く異なる作品である。統一する必要はぜんぜん無いです。
Q:2021年に「究極の2Dリマスター」として出されたのは、どちらのバージョンでしょうか? |
というわけで。先に発売されたFF1〜3の時点で、「PSP版はもちろん、GBAやワンダースワン移植版にすら劣るようなドット絵」「GBA・PSPなどでの追加要素は全て削除」「そのくせに単品1480〜2200円という強気な価格設定で、旧2D版は配信停止」と近年では稀に見る悲惨な事態となっており、ピクセルリマスター(笑)の先行きは極めて怪しいものになっていた。
…そして、少し後に発売され、原作のハードもSFCに進化したFF4では、心機一転どころか、短い宣伝動画の時点で衝撃的な品質になっており、更なる劣化が起きると思われる。GBA版での追加コンテンツ?
「ジ・アフター」? 3Dリメイクの要素?
そんなもの、期待できるわけない!
――更に言うと、その後に発売されるFF5やFF6は、それぞれ原作は異なるゲーム性をSFCで突き詰めた作品であるが、これまで“リメイク”と呼べるような大きな変更は為されておらず、せいぜいGBA移植の際に追加要素が用意されたくらいであった。それが、今回の“ピクセルリマスター”という名の劣化フィルターを通ると、どこまで駄目になってしまうのか。FF6のオペラとか世界崩壊とか、逆の意味で期待ができるな。
そんなこんなで。私の率直な思いを言うと、「何が“10年以上も楽しめる決定版”だ。こんな物は無かったことにして、今から全て作り直せ」というものなのだが、正直、出てきた物があまりにも駄目すぎて、真面目に怒る気持ちが消え去ったのである。ここまで酷い劣化リメイクは、初めてだ。こういう時にどんな顔をするのか分からないが、笑えば良いと思う。いや、笑うしかない。
…ちなみに。私は、このピクセルリマスターを買うのかと言うと、買うわけが無い。もちろん私は、FFのファンサイトを運営している人間として、ドット絵時代の作品についても、プレイ日誌を連載したいと思っている。しかし、既に「VitaTVでのPSP版」や「WiiUバーチャルコンソールのGBA版」といった環境を用意しており、出力画素数を除き、ほとんど全ての部分で旧バージョンのほうが勝っている。もちろん、旧移植版にも問題が無いわけではないが、ピクセルリマスター(笑)をやるくらいなら原作を取り出したほうが良いため、やはり「出来損ないの」「追加要素なし版」に出番など無いのだ。
もっとも。私の環境では、ゲームプレイの録画を行うために、VitaTVやWiiUと言った出荷数の少ないハードを使用する。そこまで行かないとしても、PS4&PS5やスイッチと言った現行ゲーム機には、過去のハードで提供されていたようなアーカイブス機能が無い。そして、新規ユーザーに対し、「FF1〜6をプレイするために、中古の3DS(4〜6は「New」本体のみ)・PSP・Vitaを買ってくれ」と言うわけにもいかないだろう。
――そういうわけで。今後、「出来損ないの追加要素なし版(※ピクセルリマスター)」が、現行機に移植されるようなことがあれば、残念ながらそれを新規ユーザーに勧めざるを得ないだろう。仕方ない。いくら私のような一人のファンが、FFシリーズの魅力を発信したいと思ったところで、公式の悪い意味での影響力には全く勝てない。こんな、修復に失敗した壁画みたいなものを、「FFシリーズ初期の名作」として語り継がねばならないのか…。
こんなクソ記事に顔と名前を出してほしくないだろうから、隠すね? |
ちなみに。せっかくだから、最後にもうひとつ、お笑い要素を投下していこう。それは、スタッフの話である。そもそも、冒頭のプロモーション映像に収録されている、反対側に発射される「あんこく」や、カイナッツォの腕立て伏せを異常と思わず、むしろ良い宣伝になると思って公開している時点で、根本的に間違っている。原作に思い入れのある人間は、ああいうものを出さないのである。
…が、それに加えて、スタッフたちは、どうも自分たちを光の戦士だと思っているようである。【ファミ通のこちらの記事】の、真ん中あたりをご覧いただきたい。あの、主張が強くてドット絵の世界から完全に浮いているうえに、原曲へと切り替えることもできないアレンジBGMを作った14人のスタッフが、光の戦士として紹介されている。ご丁寧に、
――なるほど確かに、こういう連中が作っているのなら、「原作愛」や「名作を語り継ぎたいという思い」などは微塵も感じられるわけがない。これでは、最新作のパッケージにサイン色紙を入れているのと同レベルだ。FFシリーズ最悪の黒歴史に匹敵する制作体制だ。
そういうわけで、この「出来損ないの追加要素なし版」を、私は買うわけがない。だって、GBA版やPSP版のほうがクオリティが高いだろ?
…しかし、映像が1つ出されるだけで、これだけの阿鼻叫喚となっているのだ。だから、この9月に配信開始となる『4』、そして更なる『5』『6』が、どこまで情けない劣化を受けるのかは、“怖いもの見たさ”的な意味で、興味があるのである。私は、別バージョンでドット時代のFFをやろうと思うので、ピクセルリマスター(笑)の無様な出来を、せいぜい“対岸の火事”として笑ってやろう。え、自分も燃えてる?
そんなの知らん。
(2021年8月28日)
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