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管理人の日記
昔のFFっぽい懐かしさと、アニメや漫画っぽさを併せ持ったゲームです。
結果的に今年一番面白いゲームになりました |
今年もそろそろ終わりということで、この一年でプレイしたゲームの感想をまとめてみたいと思います。
…と言いたいところであるが、今年は転職関連で忙しさがMAXであったことから、通しでクリアした新作ゲームは『ワールド・オブ・ファイナルファンタジー』(以下『WoFF』)と某15の僅か2作だけである。そして某15に関してはもう死んだ(【2016/12/27】)ので、結果的に『WoFF』が今年一番面白かったゲームということになるのだ。いやあ、まさかこんなことになるとはな…。
――なお、WoFFに関しては、以前に“15時間程度プレイした時点での好意的な感想”を寄せたことがあり(【2016/11/13】)、クリア後としてもその意見は大きく変わってはいない。というわけで、そちらも併せてご覧いただくと、理解が深まるかもしれない。では、そろそろ本文に行ってみよう!
まず、『WoFF』は、今年10月27日にPS4/Vitaで発売された、歴代FFシリーズの世界を舞台にしたRPG作品である。ゲーム的にはモンスター育成タイプのコマンドRPGであり、世界観としては歴代FFシリーズのキャラクターが多く登場するほか、それに関連したMAPやアレンジBGMなどが登場している。
…が、それよりも目を引くのは、何といってもやり過ぎなくらいに頭でっかちの2頭身キャラクターである。これは「プリメロ」と呼ばれ、ゲーム中のキャラクターの大半がこの「プリメロ」の姿で登場する。その異質なデザインから、発売前には完全に奇ゲー扱いをされており、初登場をしたのが「FF7リメイク」が発表された2015年のE3(【2015/6/17】)ということも併せ、「FF7の前座」扱いと前評判は極めて悪かった。まあ、某15の出来を考えるに、7リメイクのほうがよっぽどヤバい気がするがな…。
――そして、俺に関しても。期待のFFシリーズ最新作(当時)が1か月後に控えていたため、WoFFを買った理由は「PSvitaで発売する初めてのFFシリーズ新作だから」という意味合いが大きかった(それまで発売していたのはFF10/10-2のHDリマスターのみ)。まあ、仕事の忙しさの都合上、PS4で本格的にやり込むのは難しいが、Vitaならば手軽にプレイできる。そういう後ろ向きな気持ちで、本作を遊んでみることにしたのだ。
そんな感じでプレイをしてみると。WoFFは、奇抜な見た目に反して、王道のモンスター育成RPGだったのである。
…というのも、まずゲームシステムに関しては、基本的には「ミラージュ」と呼ばれるモンスターを捕らえて戦う一般的なモンスター育成タイプのRPGであり、バトルではATBをモチーフにしたターン性が採用されている。この辺りは、特に大きな新要素は無いが、逆に手堅く作られていると言って良いだろう。難易度曲線に関しても、序盤・中盤は少し簡単すぎるが、終盤は無策で挑むと苦戦するクラスの難しさがあり、適正なレベルである。
――また、世界観や演出に関してだが、ここが本作一番の評価点である。まず、本作全体の傾向として「昔のFFっぽい雰囲気」「アニメや漫画っぽい雰囲気」の二つが目指されており、それが見事なレベルで実現されている。あの、懐疑的な目を向けられた2頭身キャラクターに関しては、確かに最初は異質に感じたが、プレイするうちに慣れていき、最終的には本作のミニチュアっぽい雰囲気によく合っていると感じるようになった。また、音関連については、まずBGMについては『13シリーズ』などで活躍した浜渦さんの新曲のほか、過去作のアレンジBGMが数多く収録されており、その両方が非常に良く出来ている。また、OP/EDは、FFシリーズの主題歌というよりアニメのテーマ曲といった趣であるが、それもまた本作が目指すテーマと合致しており、曲・映像ともに極めてお気に入りになっている。その他、出演声優さんたちの声芸と3Dグラフィックを用いた体術にも力が入っており、今までのFFに有りそうで無かった「アニメっぽいFF」の雰囲気が突き詰められているのだ。その他、本作ではCGムービーの代わりに2Dアニメが用いられており、要所要所で挿入される。まあOVA的な微妙な出来なのであるが、それもまた本作のアニメ的雰囲気を高めている…のかもしれない。
そんな感じで。「アニメ風FF」として、ナンバリング作品とはひと味違った雰囲気の味わえるWoFFなのであるが、最大の問題点として挙げられるのが、Vita版の出来が芳しくないことである。
…というのも。本作は、PS4/Vitaのマルチプラットフォームソフトとして発売されており、どちらのハードでもグラフィック以外は同様のゲーム内容を楽しむことができる。そして公式サイドからは、発売前に両機種の比較動画(【Youtube】)が公開されており、それに関する意見として、「あまり差は無いからVita版にしようかな」などという発言が多かったことを覚えている。嘘である。Vita版とPS4版には、圧倒的なまでの差が存在するのだ。
――やれ。上の画像はクリックで実サイズに拡大できるので、それぞれ比較していただければ分かりやすいと思うが、Vita版は光やピントなどのエフェクトが省略されているうえに、Vitaの画面画素数である960*544にすら出力画素数が達しておらず、ジャギー(画素数が少ないことによる画像のギザギザ)があらゆる場面で目立っている。総合して、残念ながらPSPクラスのグラフィックと言わざるを得ない。その他、ロード時間に関しては頑張っているものの、動作には重さが目立ち、メニュー画面などでガクガクと処理落ちをする他、フリーズバグも1度だけだが経験した。もちろん、PS4のソフトをVitaで動かすということで、かなり無理をしているというのは分かる。それでも、このVita版の出来は、決して褒められたものでは無いのである。
というわけで。本作にはVita版のクオリティが低いという難点があるが、大きなものはそれくらいであるし、何はともあれ「FFシリーズの新作が携帯機でも遊べる」というメリットも考えれば、この問題点は許容範囲内だと言えるだろう。
…その他、メニュー画面の操作性があまり良くなかったり、ゲーム終盤が「ダーククレバス」と呼ばれる暗い空間でのバトルが中心となって地味なこと(普通のマップで、かつ歴代キャラクターのテーマBGMのままバトルに入ったほうが間違いなく盛り上がるのだが…)、その他にも登場キャラクターの漫談や各種の解説文などが滑り切れてない微妙な感じになっていることなども挙げられる。しかしながら、そのどれもが致命的と言うまでのものではないし、何なら俺だってVita版で楽しんだ。そして好きになったため、PSvitaでプレイする際にもそこまで大きな問題は存在しないと言えるのだ。
――ちなみに。これからプレイする場合の特性を述べておくと、俺の意見としてはできる限りPS4版をオススメするのであるが、実は現状PS4proでプレイすると画質が悪化するという凄まじい不具合が発生している。まあ、これに関しては、そこまで致命的と言えるほどのものでもないのだが、来年1月12日に配信のVer.1.02パッチで改善される予定であるため、それまで待つというのも手だろう。また、Vita版に関しては、恐らくは容量上の問題から、ボイスデーターが別途ダウンロード必須となっている(671MB/もちろん無料)。もちろん、ボイス無しでもプレイは可能なのだが、声優さんたちの熱演・声芸は本作の魅力を成り立たたせている大きな要素の一つであるため、絶対にオフラインでしか遊べないという場合を除き、是非ともこのボイスデーターをDLして遊んでいただきたい。なお、このボイス音声のダウンロードに関しては、これまで作中での告知が無く、ライト層に関して極めて不親切であったが、Ver.1.02のアップデートによって忠告メッセージが表示されるようになるそうだ。最初からやれや。種々の問題が解決できる次世代Vitaはまだですかね…。
そんなこんなで。総合して、この『ワールド・オブ・ファイナルファンタジー』は、FFシリーズのスピンオフとして独自の世界観を構築しており、PSvitaでプレイできるRPG作品としても、『ペルソナ4:ザ・ゴールデン』や『デジモンストーリー:サイバースルゥース』に並ぶ、新たなる定番と言える作品である。Vita版には、上記の通りグラフィック上の問題があるものの、致命的なほどでは無い。そして、FFシリーズを知っている人はもちろんとして、FFシリーズを知らない人にとっても問題があるわけではない。総合して、PSvitaでRPGを楽しみたい際に、最もお勧めできる作品の一つであると言えよう。
…ちなみに。私事になるが、この1年間は、20代終盤という年齢ながら、転職によって学生時代が戻ってきたかのような雰囲気を感じることができた。そういった個人的な出来事と、この『WoFF』の懐かしい雰囲気は、実にマッチしていたのである。だからこそ、このWoFFが俺の心に残る作品になったのかもしれない。2つのテーマ曲の歌詞など、身に染まる思いなのである。だからどうした…?
――というわけで。この「ワールド・オブ・ファイナルファンタジー」は、FFシリーズのスピンオフらしい、新たな魅力を誇るタイトルであると言える。細かな不満点もあるが、それは全て我慢可能な範囲であり、逆に魅力のほうは数限りないというものだ。さあ、最新FFの忙しいシステムや世界観に疲れ果てた方々、そしてFFという作品が、そのゲーム内容を無視して「売れるか売れないか」という点のみで議論されている現状にウンザリしている皆さまへ。そのような人にこそ、この懐かしい物語を紐解いていただきたいのである。ようこそ、ファイナルファンタジーの“世界”へ――。
(2016年12月30日)
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