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管理人の日記
今のマリオって面白いんですかねえ・・・。
「スーパーマリオ」とは、任天堂から発売されているライトユーザー向けアクションゲームではない!!
・・・まったく、いきなり何だと言うところであるが、マリオシリーズに「ライト向け」という印象が根付いたのはここ数年のことであり、元々の「マリオ」シリーズは、魅力的な要素を次々と導入しつつ高いレベルでまとめられた、初心者も上級者も楽しめるゲームの花形と言える存在であった。「マリオ」シリーズは、80年代〜90年代のゲームブームを支えた立役者であり、それに値するだけの大傑作だったのである。
――が、皆さまご存じの通り、現在のマリオシリーズは、「ライトユーザー向けのシンプルなゲーム」という立場に落ち込んでしまった。その背景には、ゲームをプレイするユーザー層の変化など、様々な理由があるのであるが・・・しかし、俺のように「進化しつづけるゲーム」を遊びたい人間にとっては、もはや「マリオ」シリーズは全くプレイするに値しない作品となってしまった。とまあ、その辺りの事情も含めて、本日は「スーパーマリオの思い出」と題し、「マリオ」の今昔から見えるゲーム業界の変遷について考えてみようではないか。
まず、マリオシリーズの主人公である「マリオ」は、元々はアーケードゲームの「ドンキーコング」(タルが転がってくるアレ)の操作キャラクターとして登場したのが最初なのであるが、その後に少しずつ存在感を増していき、ついに「スーパーマリオブラザーズ」というマリオの2Dアクションゲームが1985年にファミコンで発売された。これが、まさにやったことが無い人のほうが少ないとまで言えるほどの、伝説級のインパクト・クオリティを誇っており、「ゲーム」という文化に名を残す歴史的な傑作となった。その後、「マリオ2」では操作キャラクターに「ルイージ」を加えたうえでやりごたえを上げ、「3」では「変身」によって様々な形で多様なステージを楽しめるようになった。やれ、当時のファミコンブームに乗って、類似したアクションは他社からも多く発売されたが、「マリオ」は既に他の追随を全く寄せ付けないゲームとなっていたのだ。
・・・その後、当時の次世代機であった「スーパーファミコン」が登場し、マリオシリーズは更なる進化を遂げることになる。まず、ハードと同時発売の「スーパーマリオワールド」は、SFCの性能を活かしてグラフィック・ゲーム性が大幅に強化されており、かつシステム面も遊びやすく、「ヨッシー」や「マント」などの新システムも新鮮さに大きく貢献しており、上級者向けステージなどのやり込み要素も豊富であった。そして、SFC終盤になって発売された「ヨッシーアイランド」は、サブキャラである「ヨッシー」に主題を当てた2Dアクションであるが、絵本のように鮮やかなグラフィックと、「卵投げ」「ふんばりジャンプ」などに代表されるヨッシーだからこその新アクション、そして「100点クリアー」「隠しステージ」などのやり込み要素などなど、同ハードながら前作の「ワールド」から大幅に進化している大傑作となっていた。そして、ジャンルは違うが、「スーパーマリオRPG」というものも発売され、これまた美しいグラフィック・高いゲーム性・本編を全く邪魔しないミニゲームの数々、そして斬新すぎるCMなどが話題を呼び、今なおシリーズ屈指の名作として評価されている。
――その後、ハードはPS・SS・N64が覇権を争う時代となり、後発の任天堂は守勢に立たされていた。その中で発売された「スーパーマリオ64」は、当時はまだ「3Dアクション」というものが手探りの状況だったと思うのだが、それは3Dの特性を活かした全く新しい「マリオ」となっており、その全てが魅力的に見えるものであった。俺は、10年近く経ったのちに「スーパーマリオ64DS」という移植版でやっとプレイができたのであるが、『64』の当時に友人の家でプレイした時の衝撃とまったく変わらない、「マリオ」の正統続編であり完全新作と言える物になっていた。まさに、3Dアクションの先駆け的存在であり、これまたゲーム史に残る名作だと言えるだろう。
とまあ、こんな感じで。かつての「スーパーマリオ」は、決して「ライトユーザー向けの単純なアクションゲーム」などではなかった。常にハードに合わせた斬新なシステムを導入しつづけ、ゲーム全体が非常に高いレベルでまとめられており、しかも初心者も上級者も楽しめるという、まさにゲームそのものと言えるほどの魅力的なタイトルであった。その功績は、「アクション界の“FF”」という言葉では語りきれない。むしろ、ゲーム界への貢献度で言えば、他のどのゲームも絶対に寄せ付けないであろう。それだけの、起源にして頂点と言えるゲームが、かつて「マリオ」シリーズだったのだ。
・・・が。残念ながら、「マリオ」シリーズの進化はここまでとなってしまった。「マリオ64」の発売後、ゲームハードの覇権はPS・PS2が握り、任天堂はしばらく苦しい立場を強いられることとなった。ところが、2004年に発売した2画面・タッチパネル端末の「ニンテンドーDS」が、従来層以外を巻き込む大ブームを引き起こし、任天堂も「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などの「知育」と呼ばれるゲームをヒットさせて甘い汁をすすっていた。だが、そのような状況は、以前からゲームを愛してきたユーザーたちにとっては違和感を覚えるものであった。そんな中、2006年に発売されたのが、「マリオシリーズの正統続編」を名乗る「Newスーパーマリオブラザーズ」である。当時、任天堂の姿勢に強い疑問を感じていた俺も、そんな「マリオの正統続編」には最後の望みを寄せていた。しかし・・・その結果は、全く俺を満足させるものではなかったのである。そこに、今までのような「斬新なシステム」や「高いゲーム性」などは見ることができず、ただ単純なだけの子供騙しの2Dアクションとなっていた。その時の俺の落胆っぷりは、当時の日記(【2006/6/5】など)を見ていただければ十分であろう。ところが、そんな「Newスーパーマリオブラザーズ」が、世間的には大ヒットして「名作」「傑作」などと呼ばれることになったのである。
――その後、ほんの僅かだけ期待していた「ヨッシーアイランドDS」も、前作に匹敵するどころか評価点が一つも無いクズ(【2007/3/9】など)となっていたが、それさえも“DSブーム”に乗って100万本を超えるヒットを飛ばしていた。だから、俺はもう「マリオ」シリーズは変わってしまったのだと認めざるを得なくなったのだ。それは、かつてのような「やりごたえのある斬新なゲーム」ではなく、「ブームに乗って売れるだけの単純なアクション」なのである。・・・以来、俺は任天堂に対する興味を急速に失っていき、もはや全く任天堂のゲームをプレイすることは無くなった。かつて栄華を誇った「マリオ」シリーズは、俺の中では完全に終わったのだ。
と、そんなわけで、かつては「名作中の名作」として進化を遂げてきた「マリオ」シリーズは、時代と共に変わり果て、今では完全に「ライトユーザー向けのアクション」と化してしまった。もちろん、俺がそのようなゲームをプレイする意味は無いし、今さらそんな惨めな姿を見たくも無い。まあ、そのような「マリオ」の評価には諸説有るであろうし、少なくとも売り上げ的には成功していることから、それを進化の過程と捉える者も居るだろう。その辺りは、かつて「ゲームそのもの」とまで言えるヒットを飛ばし、今もある意味で「ゲーム」というものを象徴している「マリオ」だからこそ言えるものかもしれない。
・・・さて、読者の皆さまの中にも、「全く『マリオ』を知らない」という人はまず居ないであろう。だが、その「マリオ」の歴史をひもとけば、これほどまでにゲーム界の変遷が見えてくるのである。さて、皆さまは、そんな「マリオシリーズ」にどのような評価を下すのであろうか。これはもう、人それぞれとしか言いようが無いのだ。ひょっとしたら、そこからその人の「ゲーム」への考え方が分かるのかもしれない・・・。
(2012年6月4日)
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