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管理人の日記
お金の若者離れ
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5万円も下がる…だと…? |
私は、ヘッドハンティング的な引き抜きによって、同じ会社内で、技術職から社内SEに転向した(【日記:2025/3/28】)。当初は仮であり、“週3日の出向”という立ち位置であったが、よほど人材不足だったか、はたまた私が元の技術職で人気が無かったかで、段階的に移行が進み、秋からは完全移籍・週5日の勤務となるようだ。
…さて、我が社は、1000人以上の従業員が存在するが、SE部門は主力が私を入れて4人しかいない窓際職であり、ポストとしては「事務員」の名になる。やっていることを考えると、前職よりも、よっぽど技術職っぽいと思うのだが、まあ機械メーカーではなく、非花形部門だから仕方あるまい。
――それはそうと、技術職から事務員に転換すると、給料が大幅に下がる。どれくらい下がるのかと計算してみると、なんと月収でマイナス5万円(税引き前)というとんでもない数値が出た。“100万円のうち5万円”とかじゃないぞ。30万円弱(税引前)から5万円減だ!
手取りだと、推定だが、22万円程度→18万円程度になると思われる。給料が上がってる人々ですら物価高に負けるかどうかという話なのに、ここで給料が下がるとかさあ…。
では、内訳について説明をしていこう。私は再就職組なので、年齢的に10歳ほどバグっているが、世間一般的な新卒入社を前提とすれば、25歳ほどの給与水準に属している。現在の部門は有資格業務であり、基本給部分が24万円程度だ。そこに、資格関連で+8000円、そして夜勤があるので、それ1回につき+1万円、それが月2〜3回あった。その他に、住宅手当などの+αも加わって、だいたい税引前の支給額が、30万円に届かないほどであった。そして、ここからナンタラ保険料みたいな物が色々と引かれて、最終的な月の手取り額が、20万円強というところである。ボーナスも存在しており、経営難の影響で真っ先に削減の対象となっているが、それでも30万円×年2回くらいは貰えていた。
――まあ、正直、決して高くはないが、「こんなものかな…」とは思う。私は、いろいろあって、昇進コースから2回も抜け出してきた人間であり、根本的に上流階級の労働というのが合っていない。現在は、家賃や物価の低い地域に住んでいるということもあって、金銭面で困るどころか、むしろ、節約それ自体を楽しんだうえで、大量の余り金を資産運用に回せている。職務内容としても、ある程度、続けていけるものだと思っている。私の人生、こんなところかなという感じだ。
しかしながら。これが技術職から事務職に変わると、恐ろしいことになる。まず、基本給部分が、技術職24万円→事務職21.5万円と、マイナス2.5万円だ。やっている内容は専門ほかならないのに、名札が「事務」になるだけで、一気に1割が削られるのだ。
――そして、事務と言っても幅があるようだが、SE部門は無資格という扱いであり、私が持っていた資格関連のプラスが消え、-8000円だ。さらに、夜勤は「当直」という別システムになって、金銭的に全くお得感が無くなるらしい。月2回の夜勤が消滅するとして、-2万円である。これらを合計することにより、5万3000円のマイナスだ。そして、いつもながら、そこから上級どもが金を無心していって、最終的に残る手取り額が、18万円程度というわけだ。そりゃ、恒久的な人材不足にもなるわ。こんな給料で募集を掛けて、優秀なSEが来るわけない!!
さて、金銭感覚のバグっている私個人から離れて、「世の中の平均」で話をしてみよう。若い男女の一人暮らしを想定し、家賃の平均値は5万円程度(※電気・ガス・水道・通信を含まない)、食費は4万円程度だという。ここから、生活インフラや、食べ物以外の雑貨も含めれば、自由に使えるお金は5〜6万円程度で、若者ならば、高い電子機器のオモチャを買ったり、友人・恋人と遊びに行ったりということもあるだろう。そうなると、もうほとんどお金は残らないことも考えられる。特に、家賃や物価の高い都市部は厳しく、「自由に使えるお金」が残らない可能性もある。「手取り18万円」というのは、一般的な若者が、ギリギリお金を残せるか残せないかというくらいの給料なのだ。
――やれ、私は、「極限」などと銘打って、自分を縛り付けた貧乏生活を楽しんですらいる。しかし、それが強制されるとなると、話は別だ。安い食材を使った自炊や、中古ゲームを再売却するといった金策も、無理にやらされるとなると、窮屈感が凄まじいだろう。やれ、事務という仕事も、職場を成り立たせるために必要であると思うのだが、なんでこんなに給料が安いのか?
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弁当(500円)+モンブラン(300円)+果汁グミ(150円)+おにぎり(150円)…恐ろしや |
ということで。「事務職」になることで、給料が激減し、一般的な金銭感覚であれば、生活苦を感じ始めるクラスになることが分かった。
…なのだが、実は私は恵まれている。というのも、秋から社内SE部門で週5日の勤務することになるが、身分としては、ずっと「出向」のまま、つまり現部門での技術職のままである。よって、基本給の+2.5万円と、資格関連の+8000円は、引き続き受け取れる。上司の計らいなのか、ヘッドハンティング的な移籍だったからか、はたまた採用時の契約が関係しているのか分からないが、人生を再考するほどの大減給とならなかったことは救いだ。
――もっとも、夜勤は0回となるため、その部分のマイナス2万円は許容せざるを得ない。ちなみに、夜勤は、私にとって「1日分の労働量、2日分の勤務、3日分の給料」という感じのボーナスステージであり、これが有れば有るほど勤務が楽だと捉えていた。それが消滅するのは、給料面だけでなく、労働のキツさという面でもデメリットが大きい。ただし、マイナス5万円という最悪の事態を回避できたことを考えれば、これくらいは許容すべきであろう。
かくして。私は軽傷で済んだのだが、「同じ職場で、肩を並べて働いている事務の人たちが、最低時給クラスの薄給で鞭うたれている」というおぞましい事態が心に残ることになった。いやあ、給料の話とか、絶対リアル職場でやったら駄目だなと思ったものである。
――それはそうと、アルバイトレベルの給料で働いている人たちの財布からも、バカ高い税金が引かれているというグロ風景も、改めて明らかとなった。どうもこの国では、老人が好き勝手することを「社会保障」と呼ぶらしい。私は、新たに就職した若い世代が、まずは働き続けたいと思えて、その後に将来の夢を持ったり、結婚して家庭を作ったりできることのほうが、よっぽど「社会保障」だと思うのだが、お偉いセンセエがたの解釈は違うということなのだろう。少子高齢化の中では、選挙=多数決という制度も破綻…いや、最悪の形で成立しており、若者に希望は無さそうだ。
ちなみに、どうして我が社がここまで給料が安いのかもハッキリしており、国から見捨てられているからである。我が業界は、原則として、国が商品の値段を決めており、勝手に値上げすることはできない。昨年度には、僅かだけ国が価格転嫁を許容し、職員にとっては、月当たり6500円の昇給となった(【日記:2024/6/18】)。だが、値上げ分による増益が、材料費や光熱費といった運営コストに速攻で負け、会社の経営が悪化した結果、「12月のボーナスが減少する」という形で、職員にも跳ね返ってきた。当時の私の給料でトントンであり、恐らく、トータルだと減給になった人のほうが多かっただろう。そして、今年6月のボーナスは、まだ発表されていないが、去年冬と同じく、1ページ目が謝罪文から始まると思われる。
…ちなみに、世の中では「実質賃金の低下」というものが社会問題となっているが、これは、「給料は上がっているが、それ以上に物価が上がっており、実質的には減給と同じ」という意味だ。この手の議論で、給料が上がっていることは「前提」なのである。よって、“額面の給料が下がっている会社”なんて、カス以下の以下、完全なる負け組企業だ。
――しかし。「そんな企業は辞めて、破綻させてやれ」という理屈は、ごもっともだが、現実的には難しい。まず、会社を辞めると、必ず企業よりも自分に大きなダメージがある。とりわけ私は、もう30代も後半に入り、今さら再び業種をまたいでの転職は無謀すぎる。また、国が価格を決めているというのは、要するに、国民の生活にとって必要だから定めているのであって、それを破綻させるというのは、通常、国民生活に好ましくないはずである。誰にも困っていることを言い出せず、ぶっ潰れて全てが終わってから、「そんなに悩んでいるなら言ってほしかった」と外野がコメントする。日本社会の伝統芸だ。
さて。私は、秋から、事実上の「事務職への転向」をすることになるが、身分としては技術職で有り続けることにより、減給2万円と軽傷で済んだ。しかし、それでも、手取りは20万円ちょいというところで、決して多くはない。そして、もし事務員の身分になっていれば、手取り月収が18万円と、貧困に片足を突っ込んでいるところであった。多くのキラキラした若者たちが、この薄給で未来を潰されているという現実には、憤りを感じるものだ。
――まあ、正直、この国の根本的な給料の低さは、どうしようもならないなと思う。「若者の財布に手を突っ込んで、老人が好き勝手する」を「社会保障」と呼ぶ構図も、私が生きている間は、大して変わらないだろう。そうなるともう、貧乏な奴らが、身を寄せ合って、何とか耐えていくしかあるまい。あ、それ、高いからいらないです。
(2025年6月3日)
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