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管理人の日記
FF10が今から21年前のゲーム…。嘘だ…ろ…???
FF10歌舞伎、来年春に見に行けるよう、頑張ります… |
「素敵だね」とは、FF10の主題歌のことである。ゲーム中の楽曲としては、オリジナル版が、“中盤から終盤に移り変わるくらい”の某シーンにて流れたのち、エンディングにて、“サビ”を2回繰り返すオーケストラ版が登場する。また、「素敵だね」のフレーズを採用したアレンジ曲についても、「ユウナのテーマ」や「萌動」「いつか終わる夢」など、数多くが登場する。OPテーマの「ザナルカンドにて」と並び、FF10における2大テーマという感じだ。
…そして。FF10は、シリーズとしては異質の、東洋・アジアといった世界観を持つ作品のためか、この「素敵だね」については、海外版でも日本語の歌として流れている。先の、FF9で採用された「Melodies
of Life」は、日本版では日本語歌詞であったが、海外版では英語となっていた(同じ歌手が、日本語版と英語版の両方を歌っている)。同歌手による、日本語/英語の、両歌唱ということである。
――それが一転して、『10』では、日本語に統一となったのだ。もっとも、これは妥当な判断であろう。FF10のオリエンタルな世界観上、外国のどの人にとっても、そして日本人自身であっても異質と思えるような、“日本語歌唱のFF主題歌”は、ある意味で必須であったと思う。かつては、「西洋ファンタジー」が、我々に新たな世界観を与えてくれる逸品だった。それが一般化した時代には、“東洋風のファンタジー”という、新しい価値が必要であったのだ。
そんな中での、英語歌唱でのFF10主題歌:「素敵だね」は、果たしてどうだったのか。どうも、もともとは海外のリアル演奏会で演奏されたのが初であり、CDとしては「Distant World II」というものに収録されているようだ。まずは皆さま、今ごろ流行りの動画コンテンツのほうを視聴して、おのおので評価していただきたい(【YouTube】)。
…では、私の評価を述べてみると、まず、歌詞については、日本語で冒頭に語られる「風が寄せた言葉に
泳いだ心」を、「Wind and my heart
swimming in collected words, moved by the wind, in through the
world」と訳すなど、極限までに日本語歌詞をリスペクトした感じにて英語化が行われていると感じる。「ファイナルファンタジー」は、無国籍なゲームを装いつつも、実際には、日本人が作ったアニメ作品の境地に他ならないため、この手の扱いは、決して悪い気持ちはしないというものだ。
――しかしながら。その、『素敵だね』英語版のサビにおいては、「ステキだね」という重要な言葉が、英語においても、そのまま発音されている。しかも、あえて「Suteki
Da Ney」という、アメリカ語的な発音にて行われているのだ。最近では、日本のJ-POP…、今では、世間で流行りだというK-POPなどでも、英単語をあえて歌詞の中に取り込むという作風が為されているそうだ。だが、それはまさしく、英語圏の人にとっては、この英語版の「素敵だね」のように、歌の中で異質な感じに聞こえるのではないだろうか。しかも、あえて「すてき
だーねぇーぃ」と、なまった感じで発音しているのである。
ところで。PS2のゲームである「エースコンバット5」では、悪役の“ベルカ人”が、“ドイツなまりの英語”を発音してくれていた。
…やれ、同作のストーリーは、要すると、アメリカモチーフの「オーシア」と、ロシアに基づいた「ユークトバニア」が、ドイツモチーフの「ベルカ」によって、全面戦争に導かれるという物語であった。このストーリーが、日本人の作ったゲームによって描かれるというのは、いろいろと思うところがある。
――だが、この「英語版の素敵だね」は、上記の作品に引き続き、あえて日本語なまりの英語を選択している。“なまり”も、文化の一つである。ある意味では、日本語が、先進国であったヨーロッパ諸国の言語と比べて、今更になって肩を並べられたという象徴ではないだろうか…。
エースコンバット3は「英語字幕/日本語音声」でプレイしてみたい |
ちなみに。その後のFFシリーズでも、実は主題歌においては、日本・海外の両方で、様々な試行錯誤が為されている。
…例えば、FF12のエンディング曲の1つである「Kiss Me
Good-Bye」(【YouTube】)は、実は原曲のCDには日本語版のほうが先に収録されている(【YouTube】)のだが、ゲームでは徹頭徹尾で英語版が採用されており、恐らくは世界観を考慮したものであると思われる。
――だが、これがもし、ヴァンが「ムセテンナヨ…なんで帝国に機械があんだよ!」とか言うような世界観だったとしたら、「接吻してサヨナラ」みたいな題名で、日本語版が世界共通で流れていたかもしれない。
そして、13シリーズにおける主題歌の状況について述べてみよう。まずは、初代13における「君がいるから」(【YouTube】)は、日本語歌唱であった。「信じ続けることが奇跡を呼んで、未来へ繋がっていくよ」という、ストーリー内容を反映したとしか思えない歌詞が、実はゲームの物語とは全く別に作詞されたというのは、あまり知られていない話である。
…それはそうと、海外版のFF13では、「My Hand」という、英語歌詞のテーマ曲が用意されている(【YouTube】)。これはこれで、日本版とは異なるとはいえ、エンディングの雰囲気と合った楽曲なのだが、日本語版との長さの違いを補うために、スタッフロールの前半部分を、ゲーム中楽曲の「ラグナロク」で補っている。これは、バルトアンデルス(2回目)戦のイベントシーンや、ラスボス戦のシ骸化シーンで流れる絶望的な雰囲気の曲であり、13本編のエンディングのハッピーエンドとは強烈にミスマッチである。恐らく、海外のFFファンの間では、ネタ扱いをされていることであろう…。
――また、FF13-2においては、日本語の主題歌として「約束の場所」、海外版のものとして「New World」という、2つの主題歌が用意されている。両曲は、曲のフレーズが同じであり、主題歌でも日本語版/英語版という雰囲気になっている。なお、どちらにせよ、13-2のエンディングは例のアレであるため、全くシナリオに合わない楽曲であることは同じである。なお、日本では、PS3版のトレイラムービーとして「約束の場所」が、Xbox360版として「New
World」が使われており、そういった使い方でも有名である(【ニコニコ動画】)。両映像とも、楽曲の“サビ”とバトルシーンを合わせた盛り上がりは見事の一言である。まあ、ゲーム内容としても、ライトニングリターンズへの繋がりとしては盛り上がったから…(震え声)。
ちなみに。最近では、ブルーレイディスクの採用などによってゲーム作品が大容量化し、日本語音声と英語音声を同時収録できるような場合が増えた。しかし、そんな時、私は必ず、日本語音声から選ぶようにしている。やはり、外国語だと、字幕を読むことに必死になってしまう。だが日本語だと、細かいニュアンスまで分かってきて、よりゲーム内容へと没頭ができるからである。
…だが、しかし。更に楽しみたい作品は、他言語でも味わうようにしている。例えば、FF10の恋愛シナリオにて、ユウナがティーダへと告げる最後の言葉は、日本語だと「ありがとう」だが、英語では「I love
you」であることは、有名である。言語ごとに、細かい感情表現のニュアンスというものは異なっていて、そういうところが、作品をより深く楽しむうえで、大いに参考になる。「難易度設定」だけでなく、「言語設定」も、ゲームを楽しむうえでの、大いなるポイントとなってきているのである。
――やれ、皆さま、「ゲームの面白さ」という点については、グラフィック、アクション性、キャラクター要素、本体の操作性、世間での話題要素など、様々に論争を繰り広げていだたいている次第である。だがそこに、「言語」という論点を加えてみても、私は面白いのではないかな…と思うのだ。日本語音声、外国語音声、それを“優劣”という観点でなく、“それぞれの文化の違い”というところから捉えてみると、また世界が広がるんじゃないかな。
(2022年10月12日)
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