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「物理」はどこまで常識か? / やり込み in FF

管理人の日記

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2021年9月17日(金)
「物理」はどこまで常識か?


 
激しい戦いの中でも基本的な式を忘れないという知性の象徴だから…


 私の中では、「物理」という科目は
“常識”であると思っている。しかし、世間の人にとっては、意外とそうではないのかもしれないのだ。
 …まず、冒頭の画像は、
「キン肉マン(新シリーズ)」の、第275話から取ったものである。状況としては、団体戦におけるラストバトルであり、味方側の「キン肉マンスーパー・フェニックス」が、持ち前の知性を活かし、計算によって敵の技を受け切る…というシーンだ。
 ――しかし。私は、このコマを見た瞬間、
ウフフと笑ってしまったのである。やれ、「キン肉マン」には、ギャグ漫画的な要素もあるが、この戦闘については、至ってシリアスだ。では、なぜ笑ったのかと言うと、“知性的レスリング”を表現するために記された数式を、全て知っていたからだ。しかも、マニアックな知識が偶然に被ってしまったわけではなく、高校物理で勉強をしたものだったからである。

 では、説明をしてみよう。まず、@式の「I = Ft」は、“力積”というものを説明した式である。そして、物理の世界には、「運動量」という物理量があり、運動量の変化は力積と等しくなる。よって「mv'-mv = I」となり、そこからIを消去して、A式の「mv'-mv = Ft」が出来上がる。さらに、両辺をtで割ることにより、B式の「(mv' - mv)/t = F」が得られる。以上の過程により、力Fは「速度の変化」「時間」によって求められることが分かる。
衝突時間を長くすると瞬間的な衝撃が下がるというのは、この式から来ている。
 …また、C式は意味合いが少し異なり、A式をオメガマン・アリステラ
(質量mA, 速度vAとキン肉マンスーパー・フェニックス(質量mB, 速度vBで別々に立て、Ftを消去すると、お互いが衝突して速度が変化した場合にも、両者の間で運動量が保存されていることが分かる。同じく、運動の変化を表す法則として、「エネルギー保存の法則」はよく知られているが、物質同士の衝突では、ごく一部の場合を除いてエネルギー保存則が成り立たないが、運動量保存則は成立する。そのため、♂男と男が激しくぶつかり合う運動♂を考える際には、エネルギー保存則でなく、運動量保存則をベースとすることが好ましい。
 ――そういうわけで。上の式は、
思ったよりも遥かに知性的なことをやっていた。こういう場合、全く無関係な数式が並べられていたり、ただの桁数の多いだけの単純計算であったりすることが多い。まあ、欲を言うと、@→A→Bは単純な式変形であり、Bを最初から覚えていれば済む話である。また、BやCの式よりも、「BとCの式にどのような値を代入し、どう計算するか、また実験値と測定値が異なった場合にどのような補正を加えるか」ということのほうが重要なのであるが、まあそこまでやらなくても良いであろう。「単純な式をどこまで応用して使えるか」というのも、立派に知性の現れである。

 ということなのだが。
これらの式が、高校物理の教科書に載っていることは、否定しようのない事実である。
 …よって、キン肉マン界隈では、
「ただの高校物理だろww」などと突っ込まれている…と思いきや、全くそのような指摘は受けていない。むしろ、「謎の数式」「言葉の意味は分からんが…」などと扱われている。作者による「知性キャラの表現」という目論見は、とりあえず成功したようだ。
 ――しかしながら、私としては、その結果を見て、
予想していたよりも物理は一般常識ではないと思ったのである。高校物理をしつこく勉強した人間にとっては、最初のコマに載っている式は、親の顔と同じくらい目にしたものである。だが、世間の人たちは、ほとんど「力積」「運動量保存則」を知らなかった。自分の常識は人の非常識、「物理」は常識ではなかったのである。

FF9の後に物理を学んだので「これをどう攻撃に使うの?」と思った


 もうひとつ、「物理が世間での常識ではない」という例を紹介しよう。それは、FF9のラスボスの大技である
「ニュートンリング」である。ゲーム上の性能としては、回避不能の全体物理攻撃であり、純粋に威力の高い技であるため、各種の制限プレイでは難関となることが多い。
 …ということなのだが、
「ニュートンリング」も、これまた高校物理の教科書に載っている。内容は、平らなガラス板の上に、わずかに曲がったガラス板を乗せ、上から光を当てると、「同心円状のいくつもの輪っか」が観測されるというものである。光の様々な性質を説明できる意義深い実験であり、初報告から350年が経った今となっても語り継がれている。何百年も後に、しかも一般大衆が学ぶ高校物理の教科書に名を残すとは、さすがなものである。ニュートンくらい名前と研究内容が知られている物理学者と言うと、後はアインシュタインに、レントゲンくらいのものであろう。
 ――しかし。残念ながら、「ニュートンリング」の内容自体は、正しく語り継がれてはいないようだ。何故なら、上の文章を見ていただければ分かるように、
「ニュートンリング」は全く攻撃的な名称ではないからである。あくまで、見えているのは可視光であるため、これを相手に当てたところで、「うおっまぶし」となるだけである。ニュートンリングを作るためのガラス板で殴ったほうが遥かに効くだろう。

 さて。FF9の海外版では、ミスに気が付いたのか、技名が
「Neutron Ring(ニュートロン・リング)と変更されている。ニュートロンとは、「中性子」のことであり、速度を持っていれば放射線として扱われるため、これなら攻撃技になりそうだ。
 …しかし、以前にFF13ボス戦タイムアタックの「ミューオンバスター」の部分
【第24話】で書いた通り、放射線を使った攻撃は、そのエネルギーで石でも加速して投げつけたほうが効くことがほとんどである。まず、中性子の精製方法であるが、「ウラン核分裂」「D-T核融合」といった、いわゆる原子炉方式が存在する。しかし、これを戦闘に用いるということは、ようするに「かくこうげき」になってしまう。もちろん、中性子で輪っかを作るより、そのまま核反応による熱線・爆風・電磁パルスを攻撃に使用したほうが遥かに有効となってしまう。
 ――その他、加速器や、252Cfの核分裂などを使い、中性子線のみを取り出す手もあるが、こちらは大掛かりな装置や時間が必要である。これを照射して相手への攻撃として成り立たせるためには、
謎の装置に空いた小さな穴の前に姿勢良く立ち、そのまましばらく待っていただく必要があるだろう。逃げ回るどころか、僅かな動きすら許されない。FF9はATBなので無理である。

 とはいえ、まあ魔法的な力で、何とか「ニュートロン・リング」こと、中性子の輪っかを作れたとしよう。そして、中性子線などの放射線を使って攻撃するのは効率が悪そうなので、他の手段での物理的な攻撃を考えてみる。はい。ここに、中性子で出来たドーナツがあります! ではこれを持って、敵を殴って攻撃できるかというと…駄目である。
 …まず、中性子は、電子軌道を持たないため、
固めてしまうと重すぎである。メチャクチャ雑に、中性子1個の直径を1×10-15m、質量を1.6×10-27kgとし、これを1m3の正六面体に固めたとしよう。この場合、中性子は縦に1015個、横と高さにも同じだけの数があるため、1045個並べられる。よって、質量は1.6×1018kgである。これは、日本語にすると1600兆トンだ。恐竜を滅亡させた隕石は5000億トンと推定されているらしいが、その3200倍もの質量が唐突に現れたら、まあ生命は無事では済まないであろう。やれ、FF9のラスボスは、倒すと羽を折りたたみ、球体のような形に潰れて消えていくのだが、これは恐らく、重すぎて自分自身がブラックホールになって吸い込まれていったのだと思われる。変なところに整合性を持たせてきた。もちろん、通常の攻撃をするのに、中性子塊ほどの重さは必要が無く、その辺の重さ1トンくらいの柱でも持って、物凄い速度で殴り付ければ良い。

 では、相手のそばに
中性子星を発生させる方法はどうか。この際、ドーナツ型にすれば、輪っかが引力によって球になる過程で、相手を押し潰せるだろう。おお、無理矢理であるが、何とか物理攻撃っぽい感じにできた!
 …だが、
中性子をどこから調達するかという問題が残っている。現実的に、最も素早く中性子を取り出せると思われるD-T核融合でも、1個の中性子につき14MeV=22.4×10-13Jのエネルギーが発生してしまう。これで、先ほどと同じく、1m3の正六面体、つまり1045個を取り出そうとすると、22.4×1032Jのエネルギーが発生する。ちなみに、太陽が1秒間に発生させるエネルギーは3.8×1026Jらしいので、1回のニュートンリングで使う中性子を核融合で生成するたびに、太陽68日ぶんの熱が発生することになる。しかも、1億5000万km向こうにあるだけであんなに熱苦しい太陽が、いきなり地上0m地点に現れるのだ。もはや地獄の人工太陽とかいう話ではなく、何もかもが燃えて消え去る。もちろんガイアもテラも、月でさえも全て燃えて消滅である。
 ――というわけで。永遠の闇が「ニュートンリング」を宣言した瞬間、何だかよく分からない光が発生し、一瞬で全ての生命が焼き尽くされ、その後に中心部がブラックホールと化し、光さえ届かない静寂に包まれるのである。確かに
「永遠の闇」の名称に偽りなしであるが、誰がここまでやれと言った!

惑星が十字に並んでランダムなステータス異常(物理的な意味は不明)


 そんなわけで。話が大幅に逸れ、何のことか分からなくなってしまったが、とりあえず、
物理はあまり世間一般にはメジャーではないようだ。
 …やれ、私がかつて通っていた高校だと、6割が理系・4割が文系であり、理系は更に物理と生物に分かれていたことを考えると、
高校物理を学ぶ人は半分以下であると言える。また、日本の高校進学率は100%に極めて近い水準であるそうだが、授業中に寝ていた人や弁当を食べていた人、携帯ゲーム機(当時)で遊んでいた人、左外耳道→左耳管→咽頭→右耳管→右外耳道を通って音が抜けていった人などを考えると、恐らく「運動量保存の法則」「ニュートンリング」と聞いてピンと来る日本人は、10人に1人も居ないのではないだろうか。
 ――しかしながら、私が「物理」を知っているから、
道徳的優位に立っているかと言うと、そんなことは決してない。代わりに私は、国語や歴史が酷く苦手である。つまり、宇宙の法則は分かるが、作者の気持ちはサッパリ理解できない。また、「新選組」などと言われても、「『るろうに剣心』とか『飛べ!イサミ』とか『ゴールンデンカムイ』に出てくる人たち?」くらいしか説明できない。文系学問を理解できないのは、損をしているのかもしれない。

 ちなみに、現代の話を言ってみると、漫画・映画・アニメなどで「歴史に興味を持つ」という若者はたびたび耳にするが、
漫画・映画・アニメなどで「物理に興味を持つ」という若者は、何故か全く目にしないものだ。
 …しかしながら、
物理を知っていると、なかなか遊べるのである。ニュートンリングでも運動量保存則でも良いし、なんならFF界隈においても、グランドクロスやアルマゲスト、スーパーノヴァ、グレート・アトラクターなどなど、「物理」をベースとした必殺技には様々なものが存在する。そういう物事の出典を聖地巡りがごとく調べて、ツッコミを入れてみるのも面白いものだ。物理を忘れた民族に未来は無い(意味不明)

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