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管理人の日記
過激派おばさんから水筒?を受け取ったらそれが火炎瓶で暴力的デモになってしまって草
並べてみると確かに日本版(左)のほうが面白そうなので日本スタッフGJ |
今年5月に発売されたPS4/「デトロイト:ビカムヒューマン(Detroit: Become
Human)」の2周目をクリアしたので、その感想を書いてみます。概要を述べると、ノベルゲーながらもPS4の性能を活かし、翻訳も丁寧に行われた、ソニーらしいゲームだと思いました。
…まず、本作「デトロイト:ビカムヒューマン」は、今年5月25日に発売された海外PS4ソフトであり、夢のようなAI&ロボット技術が実現した2038年のアメリカを舞台とし、選択肢を選んでストーリーを楽しんでいくタイプのゲームである。この手の作品は、世間では「アドベンチャー」とジャンル分けしたり、または映像を視聴するという意味で「ムービーゲー」と呼んだりすることもあるが、私はあえて「ノベルゲー」と称してみたいと思う。その理由は、主として物語を楽しむゲームであり、日本のいわゆる“テキストアドベンチャー”と根本部分が同じであるからだ。ただし、力の入り方は雲泥の差であるが。
――さて、私に関しては、先日PS4で「アンチャーテッド:海賊王と最後の秘宝」をクリアーし、最終章が非常に残念という感想に終わった(【2018/8/10】)ものの、そのクオリティの高さには圧倒され、引き続き海外ゲームをプレイしてみたいという気持ちがあった。そして私は、現在はゲームに大量のお金を使えるような状況では無いものの、PSNのアカウントを見てみると、既にかなりの額がチャージをされていることが分かった。この通貨は、PSNのサービスが続く限り消滅することは無いとされているが、現金に戻すこともできない。ならば、たまには新作を買ってみるのも良いだろう…ということで、私は前々から気になっていた「デトロイト:ビカムヒューマン」を購入してみることにしたのである。
そんな感じで本作をプレイした感想は、上記の通り「PS4の性能を活かした丁寧なノベルゲー」というものであった。
…まずは、この手のゲームでのキモとなる、物語部分についての感想についてから行ってみよう。本作の舞台は2038年の米デトロイト市であり、そこでは人間と同等以上の能力を持ったアンドロイドが実用化され、人間の生活を助けていた。しかしながら、良いことばかりではなく、例えばアンドロイドに仕事を奪われて失業率が3割に達していたり、自我に目覚めたアンドロイドによる犯罪が多発するといった負の側面も存在している。そんな中で、プレイヤーは3人の異なる主人公を順番に操り、作中の事件が起こる1週間程度を体験していく。通しでのプレイ時間は、概ね15時間程度と言ったところだろうか。
――さて、この「高度に進化した機械が、人間に反旗を翻す」という世界設定に関しては、例えば古くは「ロックマンX」シリーズなどでも扱われてきており、まあSFとしては有り触れたテーマである。ただ、2018年の現在では、世間の話題としてAIやロボットが挙がることも増えてきているため、より現実味をもって我々に迫ってくると言えよう。そして、本作での取り扱い方は、例えば「ロボットと人間が友情を芽生えさせながら悪と戦っていく」といった王道タイプとは異なり、人種差別(のようなもの)といった重い社会的テーマを、真正面から描くものである。それだけに、単純な勧善懲悪では終わらない、深みのある物語になっている。そしてシナリオは、自らの選択によって、様々な展開へと分岐をしていく。私としては、特に1周目で迎えた悲痛な結末は、自らの優柔不断を強く反省させるものであったと同時に、2周目では必ずハッピーエンドを見てやろうと決意をさせた。
そして、その物語の語り方であるが、これもまたゲームならではの特性を活かしていると言える。
…まず本作の操作部分では、3Dのマップを探索し、物を調べながらストーリーを進めていくという形式を取る。そのチェックできる場所については、R2ボタンで一気に表示ができるため、「物語の進め方が分からなくなってイライラする」といったことは一切存在しない。また、ポイントの調べ方に関しては、右スティックをぐるりと回したり、スライドパッドをゴシゴシしたりといった特徴的な入力をする必要があるのだが、それもまた「操作が単純すぎて作業感を覚える」と「操作が複雑すぎてストレスを感じる」の間のちょうど上手いところを取っていると言えよう。また、物語を分岐させる選択肢に関しては、例えば「傷を負った仲間を助けるか、見殺しにするか」「仲間が撃ち殺されている中、暴力に訴えるか、あくまで対話を試みるか」「銃を構えた犯罪者に対して、人間を守るため盾となるか、それとも犯人の方へ向かっていくか」などといったシビアな選択が連続で表示され、「ただのゲーム」と言わせない迫力がある。そういった選択肢を自分で選んでいくことによる没入感は、映像だけの作品を遥かに凌駕し、本作の最大の魅力であると言えよう。
――そして。本作では、そうやって登場人物に感情移入させていくスタイルを取っているため、海外ゲーとしては珍しく、日本人にも親しみやすい物語になっている。例えば、私のお気に入りキャラクターは、コナー&ハンクの刑事コンビ…はみんな好きだと思うので、意外なところを挙げると、“過激派おばさん”ことノースである。いや見た目やキャラクター性は全く好きではないのだが、なぜか作中で何度もイメチェンを繰り返していくところや、人を殺したり物を燃やしたりすると好感度が上がっていくポンコツ具合、男キャラクターとの友情ルートが無いくせにこのおばさんとの恋愛ルートが用意されている意味不明さ、そして自分で付けた“過激派おばさん”というあだ名の驚異的な語感の良さから、一種の“ネタキャラ”として親しんでいった。
簡単には決められない選択肢と、それによって分岐していく物語への没入感は、本作の大きな魅力 |
さて、ここまで、物語面を中心に「デトロイト:ビカムヒューマン」の感想を述べてきたが、ここからはそれ以外のシステム面について語っていこう。
…まず、本作はPS4で発売されたノベルゲーであり、プレイ前の私は(;^o^)「PS4であえて物語を読むゲームを出すか…?」と思っていたものであったが、その心配は無用であり、むしろPS4の特性をフル活用した作品になっている。グラフィックに関しては、間違いなくPS4最高クラスであり、単純に画像として美しいことはもちろん、機械ならではの特性を活かしたサイバーな演出は、本作の未来的な世界観を強く印象付けてくれる。また、オンライン要素も存在し、チャプターのクリア後には世界で何割の人がその選択肢を選んだかということを知ることができる。それを見て、自分の選択がどれくらい世間一般の感覚と合っているか知れたり、レアルートに到達できた特別感を味わうことができる。また、上でも少し述べたが、システム面も大変優れており、少なくとも1周ゲームを終えるまではストレスに感じる要素は一切無く、ロードも新規ゲーム開始時以外は全く存在しない。というか、もはや海外ゲームがグラフィックと操作性で優れていることは当たり前となりつつある。日本ゲームの優れている点は…ヒロインのかわいさとか、あと音楽?
――そして、それらの評価点を下支えしているのが、日本SIEスタッフの優れたローカライズである。こういった海外ゲーは、言語の翻訳はもちろんとして、例えば×が決定で○がキャンセルなのを逆にしたりなどと、日本文化に落とし入れるための様々な作業を行わなければならず、これを「ローカライズ」と呼ぶ。ここで失敗してしまうと、「殺せ、ロシア人だ」みたいな事件が生まれてしまうわけであるが、「デトロイト:ビカムヒューマン」のローカライズは、作中を通して極めて自然なものとなっている。特に目立たない点ではあるが、こういうのは違和感を覚えさせないのが重要なのだ。加えて、日本語吹き替えも優れており、王道キャラクターから嫌味な敵役、そしてねっとりとした変態科学者まで、様々な登場人物に息を吹き込んでくれている。本作の「海外ドラマっぽい雰囲気」は、彼ら声優たちの名演が支えている面も大きいだろう。
しかしながら。本作の唯一にして最大の問題点として挙げなければならないのが、2周目以降のリプレイ性である。
…やれ。私は、初回プレイでは主要な登場人物が全員死亡か処分となる悲痛なエンディングを迎えたため、2周目では全員を助けてやろうと思ったのだが、一度シナリオをクリアしても「イベントスキップ」「早送り」「任意セーブ」と言った機能が追加されることは無い。一応、チャプターセレクトも有ることは有るのだが、その機能も完璧ではなく、しかも一部のルートをオープンするためには、序盤から特定のパラメーターを上げ続けねばならず、上げ方のヒントとなるようなガイド機能なども存在しない。結果として、私の2周目は、序盤から選択肢ごとにいちいちポーズをして攻略サイトを参照するという、著しく窮屈なプレイとなってしまった。恐らく、そこまで厳密にする必要は無かったのだろうが…。
――とはいえ、確かに、やり直し機能が不親切なのは残念だが、制作側は「できる限りリセットをせず一本の物語を楽しんでほしい」という趣旨のことを述べており、この不便さは意図的なものなのかもしれない。あまり親切すぎると、それこそ日本のエ○ゲーのように選択肢まで一気にスキップし、未読部分だけを読み進めていくという作業感の強い内容となり、結局のところ一本道のテキストアドベンチャーと変わらなくなってしまう。まあ、本作くらいのクオリティの高い物語が演出できるのならば、そういうゲームデザインでも私は良かったと思うのだが…。
そんなわけで、「デトロイト:ビカムヒューマン」は、PS4の性能を最大限に活かしたノベルゲームであり、皆さまにも積極的にお勧めできる作品である。特に、PS4を持っており、海外ゲーに触れてみたくなったり、アクションやシューティングなどとは一味違ったゲームを遊んでみたいという人には良いだろう。一応、PSNでは体験版が配信されており、必ずしも本作の魅力を表現しきれているとは言えない(単発エピソードなので物語性が薄く、独特の操作性も当時の私は面白さより面倒くささを感じた。さらに、交渉ものなので、全ての地点を調べる=事件解決という図式にはならない。そして、交渉部分だけをやり直すような機能が存在せず、周回プレイのやりづらさだけはしっかり表現できている)のだが、そこから遊んでみるというのも悪くないかもしれない。
…ちなみに本作は、日本ではソニー販売という点も嬉しく、これから幾度と無くダウンロード版のセールに登場してくれることだろう。例えば現在でも、東京ゲームショー2018記念セールとして33%OFFの4992円で購入可能であり、かつセール対象商品を合計10000円以上買うと2000円ぶんのチケットを全員にプレゼント(どちらも26日まで)という極めて太っ腹なセールが行われている。そう言えば、私が購入をしたのも、1ヶ月ほど前のサマーセールであった。もし、金銭面で迷っている人に関しては、次回以降の更なるセールで手に取っていただけるというのも良いだろう。
――というわけで。本作は、PS4であえて発売したノベルゲーとして、そしていま話題のAI&ロボット技術を題材とした物語として、どちらも大きな意義を持つ作品である。少なくとも1周目クリアまでは、緊張感が途切れることは無く、そしてクリア後には、他の人がどのようなルートを辿ったかということが気になって、食い入るようにプレイ動画や感想記事を探してしまうはずだ。本作は、「文字を読むゲーム」というジャンルとしての制約はあるものの、それ以上の広がりを持っており、限りなく傑作に近い良作であると言えるだろう。機会を見付けて、是非とも手に取っていただきたいタイトルである。
(2018年9月19日)
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