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シナリオ考察プレイ日誌

 

【第5話 千六○○年寝太郎】

 

いつ覚えた?


 続いて攻略するのは、砂漠マップ:デッド・デューンにおける「ファング編」である。彼女はご存じの通り、露出が「かわいい」とか「エロい」とか「キモい」とかではなく「カッコいい」となる、非常に希有な女性キャラクターだ。
 …さて、この章の最大の特徴は、『13』のメインキャラクターであったファングに関する物語が展開されること…ではなく、なんと言ってもファングが仲間キャラクターとして共闘してくれることであろう。この『ライトニングリターンズ』にて、仲間として戦闘に参加してくれるのはファングと白チョコボのみであり、しかもファングはこの章の中盤からラストまでずっと参戦してくれるということで、このマップでの大きな見所になっていることはもちろん、本作の世界観を大きく支えるポイントの一つにまで達していると言ってしまっても良いだろう。
 ――ところで。シナリオ上のファングは、『リターンズ』が始まる13年前に目覚めたとあって、他のキャラクターのように大きな心の闇を抱えておらず、その性格は『13』の頃とほとんど変わらない。とはいえ、彼は麻薬をうってかわってしまった的なキャラクターが多いこの作品において、昔と何一つ変わらないファングの姿は大きな癒し要素の一つとなっている。そして、戦闘面で頼りになることもあり、その存在はとても大きな物なのだ。あの原作『13』の第7章以来、作中世界では1000年振り、現実でも4年越しの共闘なのだから。

 ところで、である。そのように、「戦闘を通しての演出」が光るファングなのであるが、物語上において考えるべきことはそこまで多くない。その行動原理は「ヴァニラに死んで欲しくない」すがすがしいくらいにハッキリしており、「目覚めてから盗賊団の首領となるまでの過程」や「章終了後の行動」などについても、全て作中で十分なフォローが為されている。
 …というわけで、要するにファングについて考察すべきことは無いのであるが、それではさすがに酷いということで、シナリオをもう一度よく洗い直してみた。すると、あったのである。ホープの発言で、「眠り続けていたヴァニラとファングが目覚めたのも、神の計画だったのだろうか」というものが! というわけで、今回はこの話題について、徹底的に検証してみることにしよう。
 ――ちなみに。例によってのバトル面の話であるが、この章で最重要なのは、なんと言っても雑魚敵のデザートサハギンから入手できる「ウィーク」である。今回のウィークは、属性ダメージ1.5倍と効果自体は抑えてあるが、既に弱点となっている属性にも効果があり、しかも大半の敵に1発で掛かってくれる。そして前に書いた通り、今作はラ系魔法がダメージ・ノックアウトの両面で非常に優遇されている。そんなわけで、以降のバトルでは「開幕にウィーク&デシェルを掛け、ラ系魔法を連打」という戦法が定石となってしまうのだ。スノウ編で手に入れた「クレセントムーン」「ファイラ Lv.3」が非常に優秀であることも、この傾向に拍車を掛けていると言って良い。この方法で、雑魚もボスも普通にゴリ押しすることができてしまうのである。嘘みたいだろ。これ、発売当初は超絶難易度とされていたゲームなんだぜ…??


 
考察:そのG
〜ファングとヴァニラは何故目覚めたのか?〜
 
ス「邪魔しに参った」
 
LRFF13/なぜファングとヴァニラは蘇ったのか
〜FF13:ラスト〜

ファング「祈りが誓いになった時、運命を変える希望が生まれる」
ヴァニラ「希望という光を胸に、現実を乗り越えて、私たちは」

ヴ・フ「私たちは」

ヴ・フ・ラ「未来へと生きる」


ヴ・フ「って、なんでライトニングが!?
    改めて、ありがとうございました!

本当の本当に終わり

〜FF13-2〜


ヴァニラ「あ!セラが悪い夢にうなされてる。助けてあげよう。おーい!(出番終了)

〜LRFF13:本編開始13年前〜

ファング「987年ぶりに目覚めた。何故かは分からない。だがヴァニラは死なせねえ!!(終わり)


 そんなわけで、ファングに関しては基本的にヴァニラ一辺倒であり、そもそも『13』の頃から考察すべき事項が少なかった。含みのあるセリフと言えば、11章での「家族も増えたんだ」(+13章の「そのずっと前に誓ってるんだ。家族を守るってな!」発言から、白衣性愛情症候群ヴァニラだけではなく他のキャラクターたちのことも本当の仲間と思えるようになってきたか? くらいのものであったが、その後の過程を考えるに、やはりヴァニラが第一ということには変わりは無かったようである…。
 …そして『13-2』では、ご存じの通り終盤に一瞬だけ登場して終わりである。やれ、『13-2』での旅の目的の一つとして、「前作エンディングでクリスタル化したヴァニラとファングを本当の意味で救ってやる」というものを期待していた人は多く、さらに【発売直前に公開されたファイナルトレイラー(6:40辺り)】では、謎空間で笑顔を浮かべる二人(+サッズ親子)という、極めて意味深な演出が為されていた。それが、2分程度のイベントシーンにポッと出てきて終了というのは、さすがにちょっとファンの気持ちを考えたほうが良かったというものではないだろうか。それはともかくとして、『13-2』で二人が登場した場所は「夢のネオ・ボーダム」、つまりセラの精神世界であるため、結局のところ二人はクリスタルのままであった。そして例のエンディングでは、二人のクリスタルは一応回収された…ということになっているそうだ。
 ――さて。そんなファングとヴァニラの『リターンズ』での復活に関して、ホープは「それも神の計画のうちでしょうか」と話している。ホープの正体を考えると、このセリフの意味には一考の価値があるだろうが、何はともあれ「偶然蘇っただけ。完」で締めてしまっては考察要素がカケラも無いため、今回は「神々の計画のためにヴァニラとファングは蘇らされた」という考えの元、シナリオ検証を進めていきたいと思うのだ。

 ではまず、ブーニベルゼがヴァニラを復活させた理由は何か。それはもちろん、「忘却の禊」を行わせる必要があったからであろう。
 …ご存じの通り、神の目的は、女神によってもたらされた「混沌」=「心」の無い世界を作ることである。神には混沌を見ることはできない。見えないからこそ恐ろしい。よって、死者の魂は、「@女神からもたらされた混沌の塊である」「A500年の時を耐えられなかった弱い魂である」の二重の意味で、ブーニベルゼの計画を邪魔するものだったのだ。そういうわけでブニさんは、ヴァニラを遣わせ、魂を消滅させる儀式を執り行うことにした。ライトニングに使命を与えたのと同じようにヴァニラへと語りかけ、「忘却の禊」を実行させようとしたのである。
 ――そして、この際にヴァニラはブーニベルゼから「死者の声を聞く能力」を与えられたと考えれば、流れが極めて自然になってくれる。人に使命を与え、それを果たすための力を授ける。ファルシや神ならば造作も無いことである。
 なお、ライトニングは神から「使命を果たせば特別にセラが蘇える」という条件を受けていたが、ではヴァニラが見返りとして与えられた条件は何だったのか。それは恐らく、「儀式によって罪を償えば、魂が浄化されて新しい世界に旅立てる」という類のものであったのだろう。いや、むしろヴァニラの行動原理を考えれば、何の条件も無しに命を捨てる儀式を受け入れたかもしれない。なにせコクーンを崩壊させて500年経っても、未だに死者に許しを乞うほどの性格なのだから。本編でも触れられているが、ヴァニラは罰を受けたいのである。これが痛烈な反省とお詫びというやつか…。

フ「なんで私だけ静止画なんだ?」


 ではヴァニラに加え、なぜ今作でファングは目覚めたのだろうか。それは、「近くに居たから」「偶然」「トイレに行きたくなった」などと考えるのも良いだろうが、これもまた考察チックに行ってみることにしたい。その理由は、「ヴァニラの護衛として、使命の手助けをさせるため」というものである。
 …やれ、ヴァニラとファングが激烈仲良しなのは、超鈍感系主人公であるブーニベルゼの目にもさすがに明らかである。だからこそ、そのファングを蘇らせれば、ヴァニラが使命を果たす力となると読んだのだろう。実際、ファングの力であれば、儀式に必要な「聖宝」を入手することはたやすいことだったはずだ。作中でも語られている通り、ファングは宝が誰の手にも渡らないよう監視していただけで、自分の手でも封印を解くことはできた可能性が高い。それがライトニングがやってきて、自分以外にも封印を破れるものが出てきてしまったため、止むを得ず先に入手する手に変更したのだと思われる。
 ――ところで。ファングの性格は、ご存じの通り「@ヴァニラ」「Aヴァニラ!」「Bヴァニラ!!!」であり、ヴァニラが死ぬような儀式を執り行うわけがない。というわけで、ブーニベルゼの人選は明らかにミスなわけであるが、とはいえブニさんのことだから「仲良しだから助けるっしょ!(ゝω・)vキャピ」くらいに思っていた可能性も否めない。まったく、神は子供ホープの身を器として解放者を監視していたが、ヴァニラのほうにもロリファングを派遣して誘導しておくべきだったのではないだろうか…。

 そんなこんなのファング編であるが、最後はルミナが救世院の部隊を呼び、結局はFF12っぽいマップで聖宝が奪われて終わりとなってしまう。
 …ちなみに、ルミナがわざわざ救世院に聖宝を奪わせた理由であるが、これに関しては【第4話】で多少考察したように、「単なるいたずら」「ライトニングを救世院の手先と疑っていたファングへの罰」、または「ヴァニラに自分から儀式をやめるよう促すため」だったと考えられる。最後の説の場合、ファングの「聖宝自体を渡さない」という方法では、結局のところヴァニラの魂は解放されない。彼女自体が全てを納得し、自分から儀式を中止しなければ、本当の意味で問題が解決されたことにはならないからである。
 ――なるほど確かに、これまで散々「魂を救済するために人々におせっかいを焼く」という方針で動いてきたルミナならば、そう間接的にヴァニラの解放を手助けすることも有り得るかもしれないのだ。その証拠に、最後は封印された扉を開けてくれたりもしている。これが無ければライトニングは門限が来て脱出、一方ファングは閉じ込められて終了、という何とも言えないラストを迎えるところだった。せっかくだから、私はこの赤の扉を選べないぜ!

 そんなわけで。この章では、結局のところ誰の魂も解放されなかったわけだが、ゲーム的都合により解放者の能力がパワーアップし、次のパートへと進むことになる。物語的には、聖宝が救世院に奪われてしまったものの、ファングはまだ諦めず、終末の日に行われる儀式に乱入しようと決意した。そのために、ファングは盗賊団を脱してルクセリオに向かうことになった…というところで終わる。
 …というわけで、この章のボスを倒すと以降は仲間キャラクターのファングは離脱してしまうのだが、個人的には今後もデッド・デューンで戦い続ける限りファングが居てほしかったところである。何せ、このMAPでは最終日が近くなると強敵のアイロネートが出現し、ファングの有無はそれに多少なりとも影響を及ぼすからだ。うん。最終日のエレキシュガル戦はともかくとして、この章自体の最大の特徴が「ファングと共に戦えること」だったんだから、やっぱり残ってくれたほうが良かったよねえ…。
 ――ちなみに、さらに脱線するが、「アイロネート」と言うと、FF9に登場する雑魚モンスターのことを思い出す人が多いかも知れないが、実は「ファング」もFF9の雑魚敵として登場する。魔の森や狩猟祭で登場する、イノシシ型のモンスターがそれである。ファングとアイロネートは、実はこんなところから因縁付けられていたのだ。うん、すごくどうでもいい。




セ「大丈夫、私やお姉ちゃんも静止画だよ(一瞬しか映らない現実から目を背けながら)」


 そんなこんなで、メインシナリオの一つである「ファング編」も、無事にクリアーすることができた。
 …まったく、冒頭に「ファングはバトル面での演出がメインで、シナリオ面ではそれなり」書いた通り、今回はシナリオ考察としてはやや短めの文章になってしまった。とはいえそれでも、ファングはバトルを通してしっかりキャラが立っており、最終日でも再び見せ場が存在する。『13-2』での圧倒的冷遇から比較し、まだ今作では救済されたほうのキャラクターだと言えよう。
 ――さて、俺が何を言いたいのか分かっただろうか。そう、メインシナリオは残り2つ、その中で次に扱うのは、伝説の「サッズ編」なのである。13シリーズのメインキャラの1人であるサッズだが、『リターンズ』では『13-2』を更に上回る冷遇具合となっているのだ。しかも、まだバトル面での見せ場があったファングに比べ、サッズはバトル面でもシナリオ面でも他を寄せ付けぬ凄まじい不遇キャラクターと成り果ててしまっている。
 やれ、ことあるごとに「好きなキャラクター:サッズ 好きなロール:ENH」などと答えている俺にとって、これらの現実はあまりに苦しいものである。せめて、メインシナリオは我慢するとしても、あの例のエンディングくらいはどうにかならなかったのかなあ…。

 

(2015年5月28日)

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